誰かに、名前を呼ばれた気がして、目が覚める。
すると、朝になってて、ベッドから身を起こすと、おやすみモードにしていたスマホが電話を知らせて、振動している。
スマホを手に取って、通話に出る。
相手は、もちろん、アイツだ。
「おはよう」
挨拶すると間髪いれずに、いつもと同じ言葉が返ってくる。
「おはよ。俺は、準備出来てるから、早くしろよ」
「ああ。ありがとな」
「どういたしまして。じゃ、また、後で」
「ああ」
電話を終えた。これが俺の寝起きのルーティンだ。
朝だな。そう思いながら、制服に着替えて、荷物の確認の間に、部屋の空気を入れ替える。確認が終わったら、鞄を持って、玄関へ降りる。
さっと、玄関の鏡の前で、髪を整えて、家を出る。
「やっと来たな。アイツらも待ってる。行くぞ」
家の前で俺を待っていたのは、幼馴染で隣に住んでいる、今野咲斗だ。
「ああ。待たせた」
俺達は、隣に並んで歩きだす。
毎日、朝、電話をかけてくるのもアイツだ。
迷惑では、あるけど、迷惑じゃない。咲斗の声が起きたら、すぐ、聞けるって、ラッキーだから。
前まで、咲斗は、朝、早く、起きるのは、絶対に無理だった。寝坊に近い時間に起きてくるから、学校に行く日とか遊びに行く日は、俺が起こしていたくらいだと思う。
だけど、あることがきっかけで、その立場は、あっという間に逆転した。
「あっ」
その声と同時に、突然、咲斗が俺の頭を触った。
上を向くと咲斗と目が合って、鼓動が速くなる。
「なんだよ」
「寝癖」
「えっ...」
「だから、じっとしてろ」
「ああ」
直してきたつもりだったが、足りなかったか。
「ほら、直ったぞ」
「ありがと」
「我ながら、上手く出来た。寝癖があるのも可愛いけど、湊斗は、かっこいいが似合うからな」
「寝癖があると、俺は、可愛くなるのか?」
「ああ。普段、湊斗は、身だしなみもしっかりしてて、勉強が出来て、スポーツが出来て、皆がかっこいいと思っている」
「そのかっこいいって言われるの、俺は、お前からで良いんだけど?」
「まあ、聞け!だから、寝癖があると、湊斗がギャップ萌えをするのだ!!」
「はあ、で、その、ギャップ萌え?
どこで覚えてきたの?」
「クラスの女子が言ってた」
またか...。
「あのさ、俺は俺で、咲斗は咲斗。クラスの女子は、女子。いつも通りで良いから。言いたいことは、分かったし、嬉しいけど、ギャップ萌えとか、俺もよく、分からないし、咲斗が思うことは、咲斗の言葉で伝えて」
「湊斗...」
「それに、俺、咲斗の事、受け止める自信あるし、咲斗が一番、好きって、伝える自信あるよ?」
「うっ...」と咲斗は言葉を詰まらせるが、
すぐ、「だよな」と言って、俺に抱きついた。
「だけど、俺もずっと、湊斗の事、好きだって言えるぜ」
俺は、毎日、同じ思いを持っているという事を伝えることができる幸せを噛み締めていた。
「ああ。好きだ」
「あっ、湊斗、今のは、ずるいぞ」
そう、俺達は、恋人同士だ。
中学卒業のタイミングで俺から告白し、両思いで、付き合う事になった。
それからは、アイツが毎朝、俺を起こすんだとか言い出して、「やれるものなら、やってみろ」って言ったら、咲斗は、有言実行。俺が起きる時間の三時間前から、電話をかけてくるようになり、三日目で降参。この時間に起きたいから、その時間にかけてくれと頼んでからは、この日課が当たり前になった。
たまに、クラスの女子が言っている事を間に受けて、俺の好きなところとかを伝えようとしてくる。
その度に俺は、自分達なりに思いを伝え合えば良いと言って、咲斗も納得するが、忘れた頃にこんな会話をする。
俺が離れていくかもしれないと不安になるんだろう。
俺がお前から、離れる訳、ないだろ。
恥ずかしいから、本人の前では、言わないけど。
バス停に近づくといつも、一緒に居る二人が俺達を待っていた。
「それ、新作のチョコだろ?」
「ああ。一口、食う?」
「もらい!」と一口かじるふりをして、チョコは丸ごと、取られてしまった。
「あっ」
俺達に気づいた一人が手を振る。
「来斗、全部、持ってくな!」
そして、もう一人も俺達に気づき、手を振った。
「おはよ」
「ふぁよー」
「良かったな。来斗、理斗がまるごと、チョコくれることなんてないだろ」
咲斗が言うと残りのチョコもあっという間に食べて満足して言った。
「ああ。美味かった」
俺は、ある事に気づく。
そして、理斗が来斗に近づき、頬にキスをする。
「なっ!?」
「ごちそうさま」
「なんだよ!?」と来斗は赤くなる。
「えっ?何って、チョコだけど。もう少し、綺麗に食べたら?」
「嘘だろ!?」
そう、来斗の頬にチョコが付いていたのだ。
佐久川理斗と早木来斗。
この二人も同じく、幼馴染で、中学から付き合っている。
「来斗、良いなー!」
咲斗の一言で、さっきの恥ずかしさが吹き飛んだのか、来斗は、腰に手を当て、高笑い。
「ハッハッハー!良いだろ!!」
そんな二人を見て、俺と理斗は、笑い合う。
「朝から、お熱いね」
「そっちは、朝から、モーニングコールだろ。
お互い様だ」
「だな。...ほら、バス停、行くぞ」
そして、四人で、バス停まで、歩いて、タイミング良く、バスが来る。
バスを降りろと、目の前は、学校だ。
これが俺達、恋人同盟のいつもの朝だ。
すると、朝になってて、ベッドから身を起こすと、おやすみモードにしていたスマホが電話を知らせて、振動している。
スマホを手に取って、通話に出る。
相手は、もちろん、アイツだ。
「おはよう」
挨拶すると間髪いれずに、いつもと同じ言葉が返ってくる。
「おはよ。俺は、準備出来てるから、早くしろよ」
「ああ。ありがとな」
「どういたしまして。じゃ、また、後で」
「ああ」
電話を終えた。これが俺の寝起きのルーティンだ。
朝だな。そう思いながら、制服に着替えて、荷物の確認の間に、部屋の空気を入れ替える。確認が終わったら、鞄を持って、玄関へ降りる。
さっと、玄関の鏡の前で、髪を整えて、家を出る。
「やっと来たな。アイツらも待ってる。行くぞ」
家の前で俺を待っていたのは、幼馴染で隣に住んでいる、今野咲斗だ。
「ああ。待たせた」
俺達は、隣に並んで歩きだす。
毎日、朝、電話をかけてくるのもアイツだ。
迷惑では、あるけど、迷惑じゃない。咲斗の声が起きたら、すぐ、聞けるって、ラッキーだから。
前まで、咲斗は、朝、早く、起きるのは、絶対に無理だった。寝坊に近い時間に起きてくるから、学校に行く日とか遊びに行く日は、俺が起こしていたくらいだと思う。
だけど、あることがきっかけで、その立場は、あっという間に逆転した。
「あっ」
その声と同時に、突然、咲斗が俺の頭を触った。
上を向くと咲斗と目が合って、鼓動が速くなる。
「なんだよ」
「寝癖」
「えっ...」
「だから、じっとしてろ」
「ああ」
直してきたつもりだったが、足りなかったか。
「ほら、直ったぞ」
「ありがと」
「我ながら、上手く出来た。寝癖があるのも可愛いけど、湊斗は、かっこいいが似合うからな」
「寝癖があると、俺は、可愛くなるのか?」
「ああ。普段、湊斗は、身だしなみもしっかりしてて、勉強が出来て、スポーツが出来て、皆がかっこいいと思っている」
「そのかっこいいって言われるの、俺は、お前からで良いんだけど?」
「まあ、聞け!だから、寝癖があると、湊斗がギャップ萌えをするのだ!!」
「はあ、で、その、ギャップ萌え?
どこで覚えてきたの?」
「クラスの女子が言ってた」
またか...。
「あのさ、俺は俺で、咲斗は咲斗。クラスの女子は、女子。いつも通りで良いから。言いたいことは、分かったし、嬉しいけど、ギャップ萌えとか、俺もよく、分からないし、咲斗が思うことは、咲斗の言葉で伝えて」
「湊斗...」
「それに、俺、咲斗の事、受け止める自信あるし、咲斗が一番、好きって、伝える自信あるよ?」
「うっ...」と咲斗は言葉を詰まらせるが、
すぐ、「だよな」と言って、俺に抱きついた。
「だけど、俺もずっと、湊斗の事、好きだって言えるぜ」
俺は、毎日、同じ思いを持っているという事を伝えることができる幸せを噛み締めていた。
「ああ。好きだ」
「あっ、湊斗、今のは、ずるいぞ」
そう、俺達は、恋人同士だ。
中学卒業のタイミングで俺から告白し、両思いで、付き合う事になった。
それからは、アイツが毎朝、俺を起こすんだとか言い出して、「やれるものなら、やってみろ」って言ったら、咲斗は、有言実行。俺が起きる時間の三時間前から、電話をかけてくるようになり、三日目で降参。この時間に起きたいから、その時間にかけてくれと頼んでからは、この日課が当たり前になった。
たまに、クラスの女子が言っている事を間に受けて、俺の好きなところとかを伝えようとしてくる。
その度に俺は、自分達なりに思いを伝え合えば良いと言って、咲斗も納得するが、忘れた頃にこんな会話をする。
俺が離れていくかもしれないと不安になるんだろう。
俺がお前から、離れる訳、ないだろ。
恥ずかしいから、本人の前では、言わないけど。
バス停に近づくといつも、一緒に居る二人が俺達を待っていた。
「それ、新作のチョコだろ?」
「ああ。一口、食う?」
「もらい!」と一口かじるふりをして、チョコは丸ごと、取られてしまった。
「あっ」
俺達に気づいた一人が手を振る。
「来斗、全部、持ってくな!」
そして、もう一人も俺達に気づき、手を振った。
「おはよ」
「ふぁよー」
「良かったな。来斗、理斗がまるごと、チョコくれることなんてないだろ」
咲斗が言うと残りのチョコもあっという間に食べて満足して言った。
「ああ。美味かった」
俺は、ある事に気づく。
そして、理斗が来斗に近づき、頬にキスをする。
「なっ!?」
「ごちそうさま」
「なんだよ!?」と来斗は赤くなる。
「えっ?何って、チョコだけど。もう少し、綺麗に食べたら?」
「嘘だろ!?」
そう、来斗の頬にチョコが付いていたのだ。
佐久川理斗と早木来斗。
この二人も同じく、幼馴染で、中学から付き合っている。
「来斗、良いなー!」
咲斗の一言で、さっきの恥ずかしさが吹き飛んだのか、来斗は、腰に手を当て、高笑い。
「ハッハッハー!良いだろ!!」
そんな二人を見て、俺と理斗は、笑い合う。
「朝から、お熱いね」
「そっちは、朝から、モーニングコールだろ。
お互い様だ」
「だな。...ほら、バス停、行くぞ」
そして、四人で、バス停まで、歩いて、タイミング良く、バスが来る。
バスを降りろと、目の前は、学校だ。
これが俺達、恋人同盟のいつもの朝だ。