「じゃあ、早速、係の話なんですけど。俺と若王子くん、看板装飾係と、パンフレット係やります!」

冷静さを評価した次の瞬間にはトンデモ発言をしていて、
俺は思わず「は!?」と声を上げた。

作業工程表には係が何個も書いてあった。広報、経理、音響、舞台進行(タイムキーパー)、看板などなど。

一番楽そうな奴はどれだろう。まだタイムキーパーがマシかな?なんて考えていた矢先だった。

「若王子くんもそれでいいですか?」
副会長がじっと俺たちを見つめる。担任の適当に決めてさっさと話を終わらせたいという雰囲気ではなく、曖昧さを許さないというような冷たさを含んだ声色だった。

「…頑張ります」

「はい、じゃあ2人決定〜」

黒板に書かれた俺等の名前を見て、委員が決まった時のデジャヴかと思った。

るんるん、と席に座る田島にしか聞こえない声で「勝手に決めないでくれたらうれしかったのに」と愚痴を零した。
あくまでも、批判に取られたくないから、婉曲させた表現をした。

「どの係をやったって若王子くんは“頑張る”んやろ?俺、一人は慣れんし一緒にやろうや」

田島も田島で俺だけにしか聞こえない声で返してきた。

コイツ、俺が流されやすい性格だってこと知っててわざとやってんのか。と怒りの沸点に一瞬達しそうになるも、

事実なので何も言わず、無視した。


田島は、なんにも気にしてないみたいに、前を向いて、他の係が決まっていくのを見ていた。