「ごめん、先に休憩入っていい?監督に呼ばれてる。あと、先生にも用事ある」

教室の中ではカンガルーのきぐるみやチャイナドレスなど、各々が衣装を着て、ベーグルやインスタントコーヒーとか簡単な軽食を提供していた。

俺たちと写真を撮る人はその注文をした人たちに限定してくれていたみたいで、かなりの人数が写真を撮る前に姿を消した。

金を払うまでではないレベルの女装と言われたみたいで虚しくなる。

数組の女子、田島も友達と写真を撮ったら、割と空き時間ができて、上の発言に戻る。


「いいよ。暑いでしょ」

優しいクラスメイトの配慮で俺たちは3階にある控え室へ戻った。

「この格好で職員室、入ったらあかんかな」

「うーん。やめといたら?」

一応、制服に着替えた田島くんは、すぐその足で職員室へ向かった。

俺もスカートをパサパサ扇いで風を送った。

田島くんから借りたシャツもズボンも汗で濡れていた。

スカートってこんなに暑くて動きにくいとは知らなかった。

バレエシューズもぺったんこすぎて逆に、歩きにくい。

田島が腕を貸してくれてなければ躓いていただろう。

「ごめん、若王子くん。写真撮りたい人いるの。休憩中だけど出れる?」

「あ、うん。すぐ行く」

慌てて呼びに来たクラスメイトの呼びかけにすぐ応じて、控え室を出た。田島くんには何も言ってないけど、いいか。