『お人形』はよく言われた言葉だった。言われなれすぎて褒め言葉にもならない。でも、田島くんは、褒め言葉としては使ってない。少し眉をハの字にたれさせた田島くん。何で、彼が傷ついたような顔をするのかは分からなかった。
彼の目を見ても、俺に対して何を求めているのか読み取れなかった。
「お人形で結構。周りもそれを望むんなら」
嘘。
俺は“俺”の性格が分からないから周りに流されてあきているだけ。周りに答えを預けているだけ。
自分のことなのに、自分が分からない。
「ほんまに?人はいつまでも人形遊びなんかせえへんやろ」
いままでの彼女たちが走馬灯のように流れ出す。
適当に遊んで、適当に寝てを繰り返して、最終は捨てられる。
「…まあね」
グサグサと過去の俺が今、田島くんの言葉と共に刺してくる。
「自分のこと、もうちょい大事にしなよ。ちなみに俺は文化祭自体初めて参加するからめちゃめちゃ楽しみ。コスプレもしたことない」
「え、文化祭でたことないの?」
予想外の答えを聞いて、反応してしまう。
こんなお祭りごと大好き、文化祭関連の仕事まあまあ慣れてる男が、文化祭出たことない理由がない。なんて偏見みたいな感想を持つ。
「ない。色々あってん」
あっけらかんと話す田島くんは、俺を追い越して、階段を降りた。階段を降りながら手すりの上を左人差し指と中指で歩くようにゆっくり撫でた。
その長い指は階段を滑りながら下る。人がスキーをしているみたいだった。
「若王子くんと、文化祭一緒に楽しみたいから、俺は委員に立候補したんよ」
下の階まで降りて、俺を見上げながら大声で俺に伝えてくれる。
「…ふーん」
なんて反応すべきか分からなくて曖昧に返事した。
そもそも俺と田島くんはたまたま今年から同じクラスで、たまたま席が隣。普段話したことなんかないのに
なんでこんなにグイグイと距離を縮めてくるのか。まだ分からなかった。
距離を詰めるのが上手い人間ではあると思う。
誰彼構わず厚かましい、アホっぽいキャラクターのくせに、こうやって真意をついてきたり、出しゃばることなく仕事を黙々とこなす。
これからどれだけ田島くんに振り回されても、
田島くんを理解することなんかできない気がした。
田島くんは田島くんをしっかり捕まえれているんだろうか。
彼の目を見ても、俺に対して何を求めているのか読み取れなかった。
「お人形で結構。周りもそれを望むんなら」
嘘。
俺は“俺”の性格が分からないから周りに流されてあきているだけ。周りに答えを預けているだけ。
自分のことなのに、自分が分からない。
「ほんまに?人はいつまでも人形遊びなんかせえへんやろ」
いままでの彼女たちが走馬灯のように流れ出す。
適当に遊んで、適当に寝てを繰り返して、最終は捨てられる。
「…まあね」
グサグサと過去の俺が今、田島くんの言葉と共に刺してくる。
「自分のこと、もうちょい大事にしなよ。ちなみに俺は文化祭自体初めて参加するからめちゃめちゃ楽しみ。コスプレもしたことない」
「え、文化祭でたことないの?」
予想外の答えを聞いて、反応してしまう。
こんなお祭りごと大好き、文化祭関連の仕事まあまあ慣れてる男が、文化祭出たことない理由がない。なんて偏見みたいな感想を持つ。
「ない。色々あってん」
あっけらかんと話す田島くんは、俺を追い越して、階段を降りた。階段を降りながら手すりの上を左人差し指と中指で歩くようにゆっくり撫でた。
その長い指は階段を滑りながら下る。人がスキーをしているみたいだった。
「若王子くんと、文化祭一緒に楽しみたいから、俺は委員に立候補したんよ」
下の階まで降りて、俺を見上げながら大声で俺に伝えてくれる。
「…ふーん」
なんて反応すべきか分からなくて曖昧に返事した。
そもそも俺と田島くんはたまたま今年から同じクラスで、たまたま席が隣。普段話したことなんかないのに
なんでこんなにグイグイと距離を縮めてくるのか。まだ分からなかった。
距離を詰めるのが上手い人間ではあると思う。
誰彼構わず厚かましい、アホっぽいキャラクターのくせに、こうやって真意をついてきたり、出しゃばることなく仕事を黙々とこなす。
これからどれだけ田島くんに振り回されても、
田島くんを理解することなんかできない気がした。
田島くんは田島くんをしっかり捕まえれているんだろうか。