誰も知り合いはいない高校に進学したのに、結局、同じ道を歩んでしまっている気がした。
結局この学校でも俺を見ては、すぐに目をそらすか、盗撮するか、ずけずけと取り巻いてくるかのどれかだった。
今だって
「たまきくん、すごいじゃん。インスタグラム」
俺の机の周りには女子、女子、女子。
俺の前、横の席は男子だったはずなのに、HRが始まるまで、昼休み、放課後はだいたい四方八方女子に囲まれる。
「ううん、そんなことないよ。俺の写真撮ってくれる人が上手なだけだよ」
と笑いながら右手を振る。
俺の横顔が載った美容室の写真にはたくさんいいねが付いている。俺の顔に対してのコメントより、美容師のカット技術について見てほしいと願っても、コメントを見る限り、俺の身元を探るようなコメントばかりが目についた。
きっと美容師もその方がうれしいと思う。いやでも勝手に俺の写真使っている時点で俺の顔を広告に使おうとしているのか。美容師に対して、申し訳なさと不信感のどちらも抱いてしまう。
「たまきくん、今日の放課後なにするの?私はカラオケ行こうかなって思うんだけど、」
女子のひとりが俺に判断を委ねる。
行こうと誘えば周りの女子に角が立つし、俺から「行く」といえば、俺が乗り気だから嫉妬しても仕方ないという空気になるだろう。
でも正直、行きたくはない。前回カラオケに行った時の虎視眈々とした女子たちの空気がちょっと怖かった。
虎視眈々としてくれないで普通に過ごしてくれるなら行ってもいいが、そんな事をやんわりと伝える方法が咄嗟に出てこなかったし、もうそんな仲良しこよしでいられる年齢は過ぎてしまっている事を知っていた。
小学5年生あたりから女子のこういう、異性を狙う独特の空気感には未だに困惑する自分がいる。
そこまでしてどうして俺にこだわるんだろうか。
だいたいその理由は容姿だと嫌になるほど周りが態度で教えてくれた。