「昼飯、一緒に食べる?」と、夏樹が聞いてきた。

「叶人は、どうしたい?」
「……僕は、どっちでもいいよ」

 叶人の気持ちを確認すると、叶人は低めの声で答えた。そして叶人は俺らから少し離れた場所へ行き、花畑の写真を撮り始めた。

「陽向、あの子がこないだ言っていた子?」

 隼人先輩は叶人をそっと指さす。

「はい、俺が隼人先輩に相談したのは、叶人についてです」
「叶人くんって名前なんだ? 叶人くんはランチ、陽向とふたりで食べたそうだよね。ふたりきりの世界を邪魔されたくないタイプか……」

 隼人先輩が顎に手を当てた時、夏樹がはっとした。

「……そうだったのか! そういえば、ふたりが中睦まじく羊毛フェルトを教室でやってた時、話しかけると雪白はいつもあんまり良い反応ではなかった気がする……」

 叶人は俺とふたりだけで過ごしたいから今も、教室でも、間に誰かが入ってきたら素っ気ない態度になるのか。

 叶人がいつもと少しでも様子が違うと、どうしたのかな?って、すごく気になる。

ふたりの間に誰も入れない。そんなことぐらい、簡単にできるし……叶人に嫌な思いをさせないように、きちんと話を聞けばよかったな。