放課後、教室で帰る支度をしている時、隣のクラスにいる陽向くんが教室に入ってきた。
「叶人、帰ろ?」
「うん、帰ろ」
陽向くんは幼なじみだ。小学生の時から家がお向かいさんで、その時からの友達。僕たちは小さい頃、近所の人たちに可愛いとよく言われていた。ふたり並んでいると、おばちゃんたちに「天使が並んでいるわ」とか「妖精みたいなふたりね」とか言われていた。だけど今は、陽向くんは身長も伸びて、かっこよくなった。そして性格も強いし、みんなに頼られていてかっこいい。僕は、あんまり変わらない、かな?
鞄を持つと一緒に廊下に出る。
「叶人、バイト代入ったから帰りソフトクリーム食べに行かない? 奢るわ」
学校の玄関で、靴を履きながら陽向くんはそう言った。
「今日はちょっと……まっすぐ帰るよ」
「何か用事あるの?」
「うん。用事が――」
今羊毛フェルトでスズメを作ってて、今日完成しそうだから早く帰って作りたい。ソフトクリームも食べたいけれど。
「そっか、明後日は?」
「明後日は大丈夫だよ!」
「じゃあ明後日にしようか」
「そうしよ!」
ふたりはそれぞれ自転車に乗って、一列に並んで家に帰る。
「あれ? 家の前まで来たけど、帰りにソフトクリーム食べには行かないの?」
「叶人と明後日行くから、今日はいい。叶人、今日はなんの用事があるの?」
「家で、ちょっと……」
「内緒か。叶人もついに俺に秘密事をするようになったのか……」
「だって……」
僕の趣味は、家族以外は誰にも内緒だ。
僕の羊毛フェルトタイムは、現実世界ではなく、異世界のようなもので。なんていうか、ちょっと誰にも来て欲しくないなというか――。あぁ、でも陽向くんには教えてもいいのかな?
「いや、そんなもじもじした動きして……言いたくないなら言わなくてもいいよ別に。じゃあ、またな!」
「いや、あの……」
陽向くんはちょっと怒った様子。
秘密事して、怒らせちゃったかな?
ちょっと落ち込む。
明日の朝、いつものように迎えに来てくれるのかな?
もしも来てくれなかったら?
早めに家の前で待ってて、僕から声をかけようかな……。
僕はため息つきながら自転車を車庫にしまい、家に入った。
「叶人、帰ろ?」
「うん、帰ろ」
陽向くんは幼なじみだ。小学生の時から家がお向かいさんで、その時からの友達。僕たちは小さい頃、近所の人たちに可愛いとよく言われていた。ふたり並んでいると、おばちゃんたちに「天使が並んでいるわ」とか「妖精みたいなふたりね」とか言われていた。だけど今は、陽向くんは身長も伸びて、かっこよくなった。そして性格も強いし、みんなに頼られていてかっこいい。僕は、あんまり変わらない、かな?
鞄を持つと一緒に廊下に出る。
「叶人、バイト代入ったから帰りソフトクリーム食べに行かない? 奢るわ」
学校の玄関で、靴を履きながら陽向くんはそう言った。
「今日はちょっと……まっすぐ帰るよ」
「何か用事あるの?」
「うん。用事が――」
今羊毛フェルトでスズメを作ってて、今日完成しそうだから早く帰って作りたい。ソフトクリームも食べたいけれど。
「そっか、明後日は?」
「明後日は大丈夫だよ!」
「じゃあ明後日にしようか」
「そうしよ!」
ふたりはそれぞれ自転車に乗って、一列に並んで家に帰る。
「あれ? 家の前まで来たけど、帰りにソフトクリーム食べには行かないの?」
「叶人と明後日行くから、今日はいい。叶人、今日はなんの用事があるの?」
「家で、ちょっと……」
「内緒か。叶人もついに俺に秘密事をするようになったのか……」
「だって……」
僕の趣味は、家族以外は誰にも内緒だ。
僕の羊毛フェルトタイムは、現実世界ではなく、異世界のようなもので。なんていうか、ちょっと誰にも来て欲しくないなというか――。あぁ、でも陽向くんには教えてもいいのかな?
「いや、そんなもじもじした動きして……言いたくないなら言わなくてもいいよ別に。じゃあ、またな!」
「いや、あの……」
陽向くんはちょっと怒った様子。
秘密事して、怒らせちゃったかな?
ちょっと落ち込む。
明日の朝、いつものように迎えに来てくれるのかな?
もしも来てくれなかったら?
早めに家の前で待ってて、僕から声をかけようかな……。
僕はため息つきながら自転車を車庫にしまい、家に入った。