俺の初恋の相手ではあるが……男子である。
彼の名前は榊優希といい、外見は割と中性的な感じだった。ボーイッシュな女子にもガーリッシュな男子にも見えるから、最初はちょっと変な目で見られてたけど。
でも、クラスの男子が惹かれる女子たちには、どうしてか惹かれなくて……。
今思えば、俺の恋愛対象が男なだけだったんだと思うけど、小学校時代にそんなのが分かる訳はなく、上手くそういうのを理解できないまま、優希を目で追っていた。
理由はそれだけじゃなかったと思う。
誰に対しても優しくて、正義感が強くて、成績優秀で、運動神経も良くて……おまけにカリスマ性というか、そういう芸能人みたいなオーラが全身から出ていたんだ。
んまあ、俺自身は当時から「非リア充」だったから、なかなか優希の側には居られなかったから、完全に俺の片想いだけどな。
あいつは「リア充です」と顔に書いてあるレベルだったから、到底俺の手が届くところには居なかったんだよ。
でも、あいつが弓道の県大会で準優勝した結果、学校中に優希の伝説が発生。彼を異性と見る女子が大量発生し、優希はいつしか、休み時間も休まらなくなっていた……。
ほんの少しでも時間があったら、告白が殺到するらしい。やべーな、本当に。
そしてフると……「なんで私じゃダメなの!?」と言わんばかりの嫌がらせが待ち受けている。下駄箱に「キモい」「くたばれ」「死ね」なんて書かれた紙を突っ込まれたり、彼の気に入っている物を壊したり、なんてことが日常だったらしい。