「へえ、同窓会か」

 それまでそんなものに興味はなかったが、折角の機会だし、行ってみるのも悪くはないだろう。特に当日に予定は入っていないし。強いて、宅配便がやってくるくらいか。

 それに、と俺は思う。
 それに、小学校の同級生には、一人、思い出深い人がいるからな。

「あら冬馬、珍しく興味津々ね。行ってみる?」
「行く!」
「何で乗り気なのかお母さん分からないけど。当日は家に誰もいなくなるから、自分でちゃんと時間確認してよ」
「はーい」

 なんだ、宅配便とはいっても、置き配だったのか。なら俺も、特に心配する必要はなさそうだな。
 うーんと背伸びして、元の自分の部屋に戻る。

 しっかし小学校の同窓会かぁ。行ってみようと思ったこともなかったな。
 あの子に会えるといいけど……。


 俺のいう「あの子」とは、クラスの女子のことではなかった。