コンビニについて私はよくある惣菜パンとおにぎりを買った。主食が二つというおかしな光景だがまぁいいだろう。忘れていた空腹が意識したことによって急に湧き上がってきてしまったのだから。仕方ない。
何とか自分を納得させてから、私は隣の人を見上げてさっきの光景を思い出す。

あまり食べている姿の想像がつかず何を買うのか気になって見ていたら、なんと小さい子が買うようなかわいらしい綿あめを手に取っていたのだ。

「ん…うま」
もぐもぐと頬を膨らませて食べる様子は何だか子供みたいだ。
ついくすっと笑いが溢れる。
そんな私に気付いたのか「ん?」と首を傾げてこちらを見ている。

「綿あめ買う人とか見たことなかった。好きなの?」
まだ先程の光景を思い出して笑いがふふっと溢れる。

そんな私の様子に彼もすぐに溶けてしまう綿あめをいそいそと放り込んで、口を開く。

「…祭りによく売ってるじゃん?一回だけ行ったことあってさ子供ん頃に綿あめだけ買ったことあんだよな」

お祭り。その言葉にふと私も子供の頃を思い出す。
まだ二人は仲が良くて、私をお祭りに連れて行ってくれたんだった。その時に見たものは全部がキラキラして見えた。
あの日見た花火も、屋台も、笑顔も…全部まだ鮮明に覚えている。

「そん時にさ、甘いしすぐ溶けるわでなんだこの物体って思ってたんだけど。なーんか好きになっちゃった」

馬鹿っぽいよなぁと言って少し笑いを浮かべている彼は何だかいつもと雰囲気が違うように見えて。
何度見ても意味がないというのについ癖で彼の頭にある仮面を見る。

あれ?なんか仮面に___。
「またどっか見てる」
ぱちんという軽い衝撃をうけて私は一瞬目を瞑ってしまう。

「いたた…デコピンしなくてもいいじゃん」
おでこを抑えながらぶつくさ文句を言う私に「そっちが悪いね」と悪びれもなく返してくる。

彼に気付かれないようにとこっそり仮面をもう一度見るも何も変化はなくいつもと同じ真っ白な"無表情"が浮かんでいる。

さっき見たのは見間違いだったのだろうか。
そんな事を考えるも、これ以上詮索してもまた何か言われそうで結局仮面のことはあとにしているといつの間にか私達は学校についていた。

話しているとやっぱり思ったよりもあっという間で、一人の時よりか暑さも気にならなくなる気がした。