矢野くん……かぁ。



男の子に迫られることが日常茶飯事になっていた私は、自分から男の子の名前を覚えようとした事がなかった。



正直言って男の子には興味がなかったから。



でも今回は……、矢野くんは他の男の子と比べて、私の中ですっごく気になる存在になっている。



もっと彼の色々な顔を見てみたい。



感情を持っているかすら知らない花に、自分の子供に向けるような瞳を向けた彼の、新しい一面をもっともっと知りたい。



私はどうしてこんなにも、君のことが気になるのだろう?







「あ」



彼をこっそりと観察し始めて数ヶ月。



夏が始まったばかりの日に、全然変わっていない彼を目が捉えた。