📖 📖 📖 📖 📖 📖 📖 📖 📖 📖 

ずおも矎しい衚玙です。

ナリが䞀面に咲く䞘で少女が空を芋䞊げおいたす。
芖線の先には、飛行機雲でしょうか、䞀本の癜い筋が描かれおいたす。
そうです。
愛する人が飛び立った先を芋぀めおいるのです。

母芪ずも孊校のクラスメヌトずもうたくいかない䞭孊生の少女が䞻人公です。
ある日、圌女は珟実から逃げるように近くの䞘にある穎(防空壕跡)に入り、そのたた野宿する矜目になりたす。

目を芚たすず、目の前には芋知らぬ野原が広がっおいたした。
しかし、防空壕跡にじっずしおいるわけにもいかず、芋知らぬ土地を圷埚いたす。
でも、知った人も堎所もなく、遂に歩き疲れおうずくたっおしたいたすが、その時、心配そうな声が耳に届きたす。
目を開けるず、軍服を着た青幎が芋぀めおいたした。
少女は、時空を超えお昭和20幎6月10日にタむムスリップしおいたのです。

青幎は特攻隊に志願しおいたした。
敵艊に突撃するための片道切笊の飛行機に乗るのが任務だずいいたす。
簡単に蚀うず自爆です。
死ぬために飛び立぀のです。

ある日、青幎が䞘の䞊に連れお行っおくれたした。
そこには、岩堎を埋め尜くすような無数の癟合が咲いおいたした。
そこで時間を過ごすうちに淡い恋心が芜生えおきたす。

しかし、圌の話を聞くうちに、少女は特攻隊の存圚に疑問を持ちたす。
そのこずに口にするず、「日本軍がアメリカに勝おば、党お元通りになる。だから、呜を懞けお戊う」ず反論され、「もし日本が負けたら、䜕もかも奪われお、兵士は捕虜になり、䞀般垂民も奎隷のような扱いを受ける。そんなこずは受け入れられない。だから、なんずしおでも勝たなければならない」ずきっぱりず蚀い切られたす。
それでも少女は抗いたすが、青幎の気持ちを倉えるこずはできたせん。

その埌、青幎が玹介しおくれた食堂で䜏み蟌みずしお働き始めたすが、珟代ずの違いに驚きたす。
冷蔵庫も掗濯機も掃陀機もないからです。
冷やすのは氷を入れた朚補の箱で、掃陀は箒(ほうき)ずちり取り(・・・・)ず雑巟。掗濯はたらい(・・・)ず掗濯板なのです。
お米も手に入れるのが難しくなっおいたす。
統制されおいるからです。
癜いご飯を食べるのは莅沢ずされおいるのです。

奜きな服を着るこずもできたせん。
おしゃれができないのです。
もし芋぀かったら、憲兵にこっぎどく叱られるからです。
少女は自分が生きおいた珟代がありがたい時代なんだず思い知りたす。

ある日、身寄りのない小さな子䟛に寄り添っおいる時、「早く戊争が終わればいいのに。早く負けを認めちゃえばいいのに」ず呟きたす。
するず、通りかかった譊官から咎(ずが)められたす。
しかし少女は謝りたせん。
決然ず反論するのです。
思ったこずを口にしただけだず食い䞋がりたすが、譊官に通甚するわけはありたせん。
圌は怒りに任せお、棍棒(こんがう)を振り䞊げたのです。
蚀論統制があり、自由にものが蚀えない時代に正論は犁句なのです。

7月になり、沖瞄の守備隊が党滅したずいう情報がもたらされたす。
新聞には東京をはじめずした倧郜垂がB29で爆撃されたずいう蚘事が茉り始めたす。
日本は敗戊の瀬戞際に立たされおいたのです。

それは、少女の身の䞊にも起こりたす。
空襲譊報が鳎り響き、空から焌倷匟(しょういだん)ガ゜リンなどの燃料が入った恐ろしい爆匟が降っおきたのです。
それだけでなく、䜎空で飛ぶ飛行機から数えきれないほどの銃匟が、ものすごい勢いで、雚あられのように飛んできたした。
蟺り䞀面が焌き尜くされ、人々は次々に倒れおいきたした。
その時、少女は初めお『焌け野原』ずいう蚀葉を実感したす。
芋枡す限り䜕もないのです。地獄だず思いたした。

なんずか呜拟いしお食堂に戻った少女に次の詊緎が埅っおいたした。
恋心を抱いおいた青幎に出撃呜什が䞋ったのです。
それも3日埌。
少女は必死になっお止めたした。
圌の背䞭に手を回しお、すがり぀いお止めたした。
しかし、圌を止めるこずはできたせんでした。
基地ぞ戻る圌を茫然ず芋぀めるこずしかできたせんでした。

出撃の日、少女は芋送りに行きたせんでした。
行ったら、特攻機に飛び぀いお止めたくなるからです。
郚屋の片隅で膝を抱えお、畳の目を睚み぀けながら、耐えおいたした。

颚が吹いお、颚鈎が鳎りたした。
ふず、ちゃぶ台の䞊を芋るず、手玙があるこずに気づきたした。
特攻隊員が家族に宛おた手玙でした。
軍を通しお送るず䞭身を怜閲されるので、食堂のおばさんに頌んだもののようでした。

その䞭に青幎が曞いた手玙がありたした。
家族宛に4通。それ以倖に1通。
それは、少女に宛おた手玙でした。
それを芋た瞬間、少女は駆け出したした。
青幎が飛び立ずうずしおいる基地ぞ走り続けたのです。

なんずか間に合っお、青幎の名前を呌ぶず、圌は気づいお、笑みを返しおくれたした。
そしお、胞もずに挿しおいた癟合を攟り投げたした。
それは少女ぞの別れの莈り物であり、それが圌ずの最埌になりたした。
小さくなっおいく機圱を芋぀めおいるず、意識がなくなり、地面に倒れ䌏したした。

気づくず、元の時代に戻っおいたした。
家に垰るず、お母さんに頬を平手打ちされたした。
母芪は心配で心配で寝ないで探し続けおいたのです。
泣く姿を芋お、初めお母の愛を知りたした。
反抗しお、迷惑をかけお、喧嘩ばかりしおいたしたが、こんなにも愛されおいたこずに気づきたした。

心を入れ替えた少女は、再び孊校に通い始めたす。
郊倖掻動に参加し、リヌダヌずしおグルヌプを率いるこずになりたすが、蚪問先を知っお、心臓が早鐘を打ち始めたす。
『特攻資料通』
特攻隊員たちの写真や手玙や日蚘や遺品が展瀺されおいるずころです。
そこには、タむムスリップしお知り合った倚くの若者の顔がありたした。
その䞀぀䞀぀を芋お、手玙を読んでいくず、信じられないものに出くわしたした。
あの青幎が曞いた自分宛の手玙でした。
間違いなく圌の字でした。
自分に察する想いが切々ず綎られおいたした。

そこで、この物語が終わったず思いたした。
感動的でありながらも、爜やかな終わり方だず思いたした。
しかし、違っおいたした。
汐芋さんは驚きの゚ピロヌグを甚意しおいたのです。
それは、青幎の芖点で描かれた矎しい゚ンディングでした。
この堎面は是非、実際に本を手に取っおお読みになっおください。