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この本は「差別と偏見からの解放」をテーマにしています。
それは、障害者と健常者、朝鮮人と日本人、という差別だけではなく、男の子と女の子、についても触れられています。
第1章で、「自分が女の子であることが嫌だった」という思いが吐露されますが、その理由は「女の子は、男の子と違って、できないことがたくさんある」からでした。
例えば、青や緑が好きなのに、赤やピンクのものを与えられることが多いし、王子様になりたくてもお姫様にならなくてはいけなかったし、「くん」で呼ばれたいのに「ちゃん」でしか呼ばれなかったり、「女の子はそんなことをしちゃいけない」と言われたり、ズボンをはきたいのにスカートをはかされたり、セクハラを受けたり。
もちろん、朝鮮人についても触れられています。
空奈の母親はフリージャーナリストで、あるきっかけで仕事に立ち会うことになるのですが、その時のインタビュー相手、金さんの言葉に衝撃を受けます。
「朝鮮人というと北朝鮮のことが思い浮かぶかもしれないが、それは違う。韓国人でもない。本来、南北に分かれていなかった朝鮮に住んでいる人のことだ。では、どうして南北に分かれたのか、その責任の一端は日本にある。35年にも渡る朝鮮侵略と植民地支配だ」
「植民地時代には『大日本帝国臣民』といって、無理矢理日本人にさせられた。それなのに、戦争が終わった途端、『お前たちは日本人ではない』と言い始めた。日本国籍を奪われたのだ。朝鮮に戻ることができなかった人は無国籍になった。なんなんだそれは」
「私たちは在日朝鮮人と呼ばれている。日本で生まれて、日本で育って、日本で学校に通って、日本で暮らして、日本で働いて、日本語を話して、日本人の友達がいて、それなのに、『在日』と言われ続けている。それが現実なんだ」
第2章では韓国人の母を持つ女の子が登場します。
日本人の父と韓国人の母の間に生まれた女の子、美星です。
彼女が中学生になった時、虐めが始まります。
机の上に黒いマジックインキで〈こいつはチョーセン〉と書かれていたのです。
その横には奇妙な形をした人参のイラストがありました。
朝鮮人参です。
つまり、美星は日本人ではないということを明確に表していたのです。
韓国人の女から生まれてきた美星は忌み嫌うべき存在であり、教室から排除しなければならない者だと。
それから後も虐めが続きました。
体操着を隠されたり、笛が隠されたり、絵の具が隠されたり。
そして、机の上の落書きは消しても消しても書きなぐられ続けました。
日本の終戦記念日は、韓国では解放記念日です。
植民地化されていた間、韓国人は、国だけでなく、人としての尊厳、母国語、名前まで奪われてきました。
やっとそれから解放されたのです。
しかし、そのことを知る日本人は多くありません。
事実が伝わっていないからです。
中学2年生の時、カッターナイフでスカートをズタズタに切られました。
もう逃げるしかない、と彼女は思いました。
そして父親に訴えました。
アメリカに行かせてほしいと。
大学を卒業後、外資系のホテルに就職し、その後、別のホテルに引き抜かれてソウル市で働くことになりました。
母は父と離婚して韓国に戻っていたので、すぐに手紙を送りました。
会いたいと。
しかし、返事は来ませんでした。
自らの手で命を絶っていたのです。
実は母親も虐められていました。
姑(美星の祖母)からです。
結婚に反対だった祖母は、美星が生まれたあとも拒否し続けました。
それは二人の結婚を祝福してくれた韓国の祖父母とは正反対でした。
日本人の偏見が母を追い詰めたのです。
今、オモニ(母)は星になって夜空で輝いています。
永遠に輝き続ける美しい星となって美星を見守ってくれています。
いつまでも。
この本は「差別と偏見からの解放」をテーマにしています。
それは、障害者と健常者、朝鮮人と日本人、という差別だけではなく、男の子と女の子、についても触れられています。
第1章で、「自分が女の子であることが嫌だった」という思いが吐露されますが、その理由は「女の子は、男の子と違って、できないことがたくさんある」からでした。
例えば、青や緑が好きなのに、赤やピンクのものを与えられることが多いし、王子様になりたくてもお姫様にならなくてはいけなかったし、「くん」で呼ばれたいのに「ちゃん」でしか呼ばれなかったり、「女の子はそんなことをしちゃいけない」と言われたり、ズボンをはきたいのにスカートをはかされたり、セクハラを受けたり。
もちろん、朝鮮人についても触れられています。
空奈の母親はフリージャーナリストで、あるきっかけで仕事に立ち会うことになるのですが、その時のインタビュー相手、金さんの言葉に衝撃を受けます。
「朝鮮人というと北朝鮮のことが思い浮かぶかもしれないが、それは違う。韓国人でもない。本来、南北に分かれていなかった朝鮮に住んでいる人のことだ。では、どうして南北に分かれたのか、その責任の一端は日本にある。35年にも渡る朝鮮侵略と植民地支配だ」
「植民地時代には『大日本帝国臣民』といって、無理矢理日本人にさせられた。それなのに、戦争が終わった途端、『お前たちは日本人ではない』と言い始めた。日本国籍を奪われたのだ。朝鮮に戻ることができなかった人は無国籍になった。なんなんだそれは」
「私たちは在日朝鮮人と呼ばれている。日本で生まれて、日本で育って、日本で学校に通って、日本で暮らして、日本で働いて、日本語を話して、日本人の友達がいて、それなのに、『在日』と言われ続けている。それが現実なんだ」
第2章では韓国人の母を持つ女の子が登場します。
日本人の父と韓国人の母の間に生まれた女の子、美星です。
彼女が中学生になった時、虐めが始まります。
机の上に黒いマジックインキで〈こいつはチョーセン〉と書かれていたのです。
その横には奇妙な形をした人参のイラストがありました。
朝鮮人参です。
つまり、美星は日本人ではないということを明確に表していたのです。
韓国人の女から生まれてきた美星は忌み嫌うべき存在であり、教室から排除しなければならない者だと。
それから後も虐めが続きました。
体操着を隠されたり、笛が隠されたり、絵の具が隠されたり。
そして、机の上の落書きは消しても消しても書きなぐられ続けました。
日本の終戦記念日は、韓国では解放記念日です。
植民地化されていた間、韓国人は、国だけでなく、人としての尊厳、母国語、名前まで奪われてきました。
やっとそれから解放されたのです。
しかし、そのことを知る日本人は多くありません。
事実が伝わっていないからです。
中学2年生の時、カッターナイフでスカートをズタズタに切られました。
もう逃げるしかない、と彼女は思いました。
そして父親に訴えました。
アメリカに行かせてほしいと。
大学を卒業後、外資系のホテルに就職し、その後、別のホテルに引き抜かれてソウル市で働くことになりました。
母は父と離婚して韓国に戻っていたので、すぐに手紙を送りました。
会いたいと。
しかし、返事は来ませんでした。
自らの手で命を絶っていたのです。
実は母親も虐められていました。
姑(美星の祖母)からです。
結婚に反対だった祖母は、美星が生まれたあとも拒否し続けました。
それは二人の結婚を祝福してくれた韓国の祖父母とは正反対でした。
日本人の偏見が母を追い詰めたのです。
今、オモニ(母)は星になって夜空で輝いています。
永遠に輝き続ける美しい星となって美星を見守ってくれています。
いつまでも。