「右手を選んでいたら、欲しいものを手に入れられたのにね。でも、君は左を選ぶ運命だったんだから仕方がないんだ」

「……」



 光莉さんが話しているのは運命論なのか?
 ……どちらかの選択肢の中からひとつを決めなくてはいけない状況に立たされたとき。僕はそれでこれからの運命が決まってしまうのであれば、僕は迷って選べなくなってしまうかもしれない。



「まあ、これは結果論であって、選ぶ前には何が起こるか分からないんだから、結局、右か左かを選ぶか一緒なんだよね」

「本当になにがいいたいんですか」

「んー」

「……」

「なにかを選んだ時点で、未来は決まっている運命なんだよね」

「……はい」



 光莉さんの話は難しかった。
 つまり、何事もそうなる運命だ、っていうことなのだろうか。僕が学校に行けなくなったことも、学校を休む選択をしたことも、それも運命だったってことだったのだろうか。
 ……なにかを選んだ時点で、未来は決まっている。


「それよりさ、君の幼なじみの話を聞かせてよ。どんな子なのさ」

「え、嫌ですよ」

「なんでー」



 光莉さんは俺の服を掴んで、ゆさゆさと振る。やめてくれ。目が回る。
 ……僕が話すまで、光莉さんは手を離してくれなさそうだ。
 ため息をつく僕。これは諦めたほうがよさそうだ。