今日も学校に行けなかった。

 学校に行けなくなってから、何日経っただろう。一日、二日、一週間……。一か月。最初の頃は、学校に行っていない日数を数えていたけれど、今はもう数えていない。
 僕は学校に通うことを諦めた。学校に行かないと選択したのは僕だ。それなのにずっと心に霧がかかったようにすっきりしない。こんな生活をあとどれくらい送ればいいんだろう。

 午前10時。両親はもう仕事に行った頃だろう。僕はようやくベッドから起き上がり、パジャマを脱いだ。
できるだけ、父さんや母さんと顔を合わせたくない。顔を合わせたら、僕の中で『申し訳ない』という感情でいっぱいになってしまうから。
 学校に行けなくてごめん。
 出来損ないの息子でごめん。
 普通じゃなくてごめん。
 心の中で謝ることしかできない僕。だけど、両親は僕に謝って欲しいわけでもないと思う。僕の父さんと母さんは『学校に行け』なんて言わない。最初こそ僕が学校に行かなくなった理由を聞いてきたけど、今は無理に聞いてこない。
 僕の父さんと母さんは優しい。僕のことを大切にしてくれている。
 ……だけど、本当はどう思っているんだろう。
 学校に行くのが普通。学校で勉強するのが当たり前。そうしないと、大学にも行けない。僕という人間は、どんどん出来損ないになっていく。
 僕はどうしたらいいんだろう。
 高校二年生の夏。僕は今日も悩んでいる。