始業式が始まる。
久々に見たクラスメイトは日焼けしていたり、髪の毛を切ったり、変わっている子もいた。
奈留ちゃんは変わっていなかった。
「八千代は何処か行った？私は家族と福井県に行ったよ」
「私は山〜」
「何処の？」
「ん〜、、、分かんない」
「分からんのかい！」
うん。奈留ちゃんは変わってなかった。

「遅くなったな〜、、、」
買い物袋をぶん回しながら夜道を歩く。街頭があるといっても、暗いものは暗い。
里よりは明るいけどね。
「八千代」
何処からか自分を呼ぶ声がする。
後ろを振り返っても誰もいない。
また悠陽の悪戯かと思ったけど、声が違う。
「八千代、上だよ。上」
言われた通りに上を向くと、声の主を見付けることが出来た。
声の主は街頭の上にいた。
その人は中華風と和服を合わせたような服装に、男性にしては長い髪をひとつに束ねている。
「凪先生！」
凪先生、里全体の管理者で、悠先生と皐月先生を合わせて戦っても余裕で勝てる程、めっちゃ強い。
かなりマイペースな性格で、よく放浪している。
「八千代、外はどうだ？」
「悠先生にも言われた、、、」

「で、悠陽は何でこうなってるんだ？」
「まぁ、色々あって」
「もうヤダ、、、凪先生と戦いたくない、、、」
悠陽は椅子に深く腰掛け、頭を稲穂のように垂れている。横から見る表情には、燃え尽きた灰のように生気がない。
つい先程、凪先生と体術だけで勝負した悠陽はこてんぱんに負けていた。そりゃそうなる。
「クナイひとつで木を破壊出来る人に勝てる訳ないだろ。諦めろ」
「次は絶対勝つ！」
「頑張れー」