「疲れたー!」
伸びをしながら山を散策していたら楓と涼花に背後から突撃された。
「うおっ!」
何とか転ばずには済んだ。良かった良かった。
「ねぇねぇ、八千代ちゃん。見て見て!」
涼花の手には一枚の紙。
そこには上から見た涼花と楓の姿が描かれていた。、、、上手い。
「え、上手っ!!どしたの?」
「なーんか、オレ達の部屋の机に置いてあったんだよ」
凄い、、、。
誰が描いたんだろう、、、?
「あっ、見て見て!大きな果物はっけーん!!」
高い所に実っている果物を涼花は見付け、木によじ登っていく。だが、果物に手が届きそうな場所まで来ると、足を滑らせてしまう。
「涼花!!」
私が動くよりも先に、楓が動いた。

何とか降ってくる涼花を楓は受け止め、ドヤ顔している。
「わー、、、二人を見てると良い話が書けそうだよ」
何処からかそんな声が聞こえた。
この声は、、、
未明(みめい)!!」
私と同じ上級生で、絵と物語を作るのがとても上手な女の子。
「よっと、、、」
未明の手には何時も通り、矢立と巻物。
「もしかして、未明が描いてくれたの!?」
「そうだよー?」
ありがとー!!と感謝を告げながら腕をブンブン振る楓と涼花。
「私こそありがとうね。良い話が浮かんできたもん」
曰く、スランプ状態に陥った未明は楓と涼花を見て、良い物語を思い付いたそう。机に置かれていた絵というのはアイデアをくれたお礼らしい。
「今回は今までと方向を変えて『恋愛』をテーマにして書こうと思うんだー」
「恋愛?」
「そうだよー。ありがとうねー」
なんて言いながら何処かへ行ってしまった。
恋愛、、、?
楓と涼花が恋愛、、、?

そのことについて数時間、頭を捻らすことになってしまった。