御座(ござ)が敷かれた広場に、沢山の料理が並んだ。
「こら、ちゃんと手を洗いなさい」
「あっ、それ私のかまぼこ!」
「この箱のおにぎり、梅干しが入ってる!」
「こっちは山菜が練り込んであるな」
みんな仲良く夕涼み。
おかずは山菜の天ぷら、煮物など。
天ぷらに箸を伸ばし、食べる。サクッとしていて美味しい。
「春ならタラの芽の天ぷらが美味しいよね」
「今は夏だよ」
近くに座っていた友達と話す。
不意に、悠陽の張った声が聞こえた。
「ちゅーもーく!お饅頭の中に一つだけ、唐辛子が入ってるよ〜!犯人は仁と慎だよ〜。文句は二人に言ってね〜、オレは知らない」
サラッとロシアンルーレットを暴露した悠陽。
みんなはそれを聞いて、仁と慎に文句を言ったり、誰が唐辛子入りのお饅頭を食べるか賭ける子もいたり、あの二人に任せるんじゃなかったと落ち込む子もいたり、、、。
「大食い大会始めよう!」と誰かが言ったのを合図にして大食い大会が幕を上げることになった。勿論、仁と慎は強制参加だ。
皐月先生はそれを見ながら、ため息をついて言った。「やれやれ、、、」
「八千代は参加する?」友達が聞いてきた。
「え〜、どうしよ〜かな」
「八千代ちゃん、頑張れ!」
「八千代ー、参加参加!」
めっちゃ参加を勧めてくる涼花と楓。
仕方ない、参加しよう!

「参加者は仁、慎、八千代、咲良(さくら)、千ト、の五人!」
目の前の長机に鎮座したのは大盛りのお饅頭。
「近くで見ると迫力があるね」
「沢山あるね」
「八千代、大丈夫?」
「先に言ってくれれば摘み食いしなかったのに、、、」
「僕、甘いものは苦手なんだけど、、、」
千トが今すぐにでも退場しそう、、、。いや、でもあー見えて大食いだからな〜、、、。
よーい、始め!という合図で五人全員が手を伸ばす。
「美味しいけど、喉詰まるね」お饅頭と片手にお茶を片手に持っている仁が言った。「勝負事には負けたくないな〜」
「二個目〜!」もう一個目を食べ終え、二個目を食べ始める慎。
「むぐ、、、はぁ、、、お茶があって良かった〜」喉に詰まらせながらお茶を一気飲みしてため息をつく私。
「ふぅ、、、」一個目を食べて満足気に脱落宣言をする咲良。
「、、、、、、」無言で次のお饅頭に手を伸ばす千ト。何個目?

結果。
千トの圧勝。
仁、五個。慎、五個。咲良、一個。私、六個。千ト、十二個。