「ふぁ〜!眠い、、、」
大きな欠伸をしながら、寝間着から外出着に着替え、食堂に向かうが、やっぱり眠い。
「おはよ〜、眠そうだね。昨日の折檻がそんなにこたえた〜?」
隣を歩く悠陽の発言に頷く。今日は大雨なので外に行けない。
昨日、昼間に海斗くんの件を皐月先生に琥珀が話してくれた。皐月先生は「それは仕方ないね」というように注意喚起だけで終わったが、たまたま聞いていた悠先生にその後、三人で呼び出された。
「ご飯抜きにはならなくて良かったね〜」
「それは悠陽だけで良い」
「えぇ、、、」
食堂に着き、角膳に乗られた朝ご飯を机に座って食べる。
「ご飯美味し〜!」
「八千代ちゃん、おはよう!」
「おっはよ〜!」
「ほはよ〜」
仲直りをした楓と涼花が入って来たので元気に挨拶。
「食べながら喋らない」
もう食べ終わって、返却台に戻していた悠陽が戻ってくる。
「八千代!悠陽!今日、オレ達の部屋に秘密基地作るんだ〜!」
「良いでしょ!」
笑顔で言う下級生を見ていたら、ふと思い出した。「そういや誠一は帰ってきたのに(すみ)は帰って来てないんだね」焼き魚を頬張りながら聞く。
「純は今日帰ってくるって〜」
「誠一くんから聞いたの」
純、何やらかしたの?


「久々の里!」
大雨の中、濡れた黄色の髪を布で絞る純がいた。
「、、、えっ、誰?」
目の前にいるのは黄色の着物をきちんと着た純の姿。
着崩してない、、、だと!?
「やだな〜、八千代。忘れちゃったの〜?純だよ、すーみ」
「いやいやいや、何時も着崩している純は何処行ったの!?ギャル卒業!?」
驚いて大声を出してしまったから上級生と下級生もみんな来た。
そして騒ぐ。
「純!どうしたの?」
あまりの変わり様に驚く者。
「やっと真人間になったか」
真人間になったと涙を流す者。
「寝間着じゃないよね」
外出着ではなく寝間着を疑う者。
「熱でもある?薬の調合してもらうように頼んで来ようか?」
体調不良を疑う者。
まぁ、みんな驚いている。
「いや〜これには訳があって、、、」
曰く、数日前、何時もの外出着で外にいた時、警察に補導されてしまったらしい。
「純、、、」
「てことで!里帰りしたから何時もの服になるから安心してね!」
「う〜ん、、、」
そう言うと部屋に入って行った。数分後、何時もの服になっていた。
黄色の着崩した着物に黒色のスカート。きつく巻いたサラシ。緑色の(くるぶし)から脛までゆるゆるの足袋に(かかと)が少し高くなっている下駄。
「、、、何時も通りの純だ〜!」
「見慣れた姿」
「うん。素直に喜んで良いのか分からないや」
そう言いつつ純の頬はほんのり赤くなっている。
(照れてるんだな〜)
明日の夜、夕涼みをすると先生達から連絡が入り、みんなで喜んだ。