東京支部の地下にある訓練場をハヤトとルナが疾走していた。
暗く広い部屋を、ハヤトが駆け抜ける。金網を跳躍(ちょうやく)して越え、木箱を踏んで風のように移動していく。
その後方からゴム弾が襲いかかった。
空間を裂くゴム弾はハヤトの足元に着弾した。ハヤトは直前で跳躍しゴム弾を回避、何度もゴム弾が襲うが、その時にはもうハヤトは他の障害物に移動していた。
「待って、、、!」
後方から少女の叫び。
「待たないよ」
ハヤトが息ひとつ切らさない平坦な声で言った。
後方から、追跡者であるルナがゴム弾を何発か撃つが全ての攻撃をハヤトは首や体を傾け、あるいは木剣で軌道を変えて回避した。まるで見えない壁でもあるかのように、攻撃がハヤトまで届かない。
「これじゃ本番になった時、死んでしまうよ?」ハヤトは疾走しながら言った。
 そもそも特戦員とは戦闘員の中でもずば抜けている人達のことだ。東京支部はハヤトを含め五人しかいない。
前方から投げた木剣がルナを目掛けて飛んでくる。
それを避けるように後ろに飛ぶ。だが、それは囮だった。
こうなることを予測していたハヤトはルナに容赦ない回し蹴りを食らわす。
 訓練用の拳銃を取られ、ルナは床に座り込む。
そして息を切らしながらハヤトを見た。「流石、、、師匠、、、強いね、、、」
「何事も慣れだよ。僕自身はそんなに強くない」
絶対に嘘だ、とルナは思った。
訓練を終了し、二人は夜ご飯を食べに食堂に向かった。