「王は、まだ3人しか妃は、おらぬではありませんか。まだまだ少ない方でございます。それに、世継ぎを作るのも、王の大事な勤めですぞ。」

「忠仁……そなた、紅梅の事はよいのか。」

「私が守るべきは娘ではなく、あなた様であり、この国でございます。」

忠仁の真っ直ぐな目に、信寧王も首を縦に振らずには、いられなかった。

「どうでしょう。一度、その子沢山村を訪ねてみては?」

「私が出向くのか?」

「はい。その中で王の目に止まる娘がいれば、妃に迎えればいいでしょう。いなければ、そのまま帰ってくればよろしいのです。」

これにはさすがの信寧王も、納得する意見であった。


「そうしよう。早速その村に使いを出し、村中の娘と会わせよと知らせを。」

「はい。かしこまりました。」

王の間を出た家来に、忠仁が近づいた。

「忠仁様。」

「静かに。村に知らせを出す際、村長に娘を選ぶ条件を伝えろ。」