切り裂かれた服の中に、ぱっくりと割れた素肌が見えた。

将拓は、自分の上着を脱ぐと、信志の腕をそれできつく縛った。

「私の家に戻りましょう。」

「大丈夫だ。」

「いいえ。早く手当てをしなければ。」

将拓は、信志の右側に立つと、そのまま抱えるように支え、自分の家まで連れて帰った。


「黄杏!黄杏!!」

けたたましい声をあげる将拓に、黄杏は何事かと、顔を出した。

「どうしたの?」

そして血に染まった信志が、その目に飛び込んできた。

「信志様!これは一体!?」

心配する黄杏を他所に、将拓は信志を居間に座らせた。

「黄杏。私の荷物から、黒い布にくるまった物を持って来てくれ!」

「はい!」

黄杏が将拓の部屋に、取りに行っている間、二人の親は、何事かと近寄ってきた。

「何があった?この方は?」

父に問われ、将拓は血で張り付いた布を、丁寧に剥がしながら答えた。