翌日の夜。

2度目の滞在延期が、皆に言い渡された。


「また1週間、信志と一緒にいる事ができるのね。」

「ああ。」

その日も、黄杏と信志は、情事を交わす為に、庭先の近くにある部屋を訪れていた。

「あと、どれくらい滞在延期が、言い渡されるのかしら。それとも、これで最後……」

信志は、黄杏を抱き寄せた。

「そうだとしても、離れないと約束しただろう。」

黄杏の額に、信志が口付けをした時だった。


「誰だ?こんな時間に。」

灯りが、黄杏を照らす。

咄嗟に黄杏は信志を庇い、起き上がった。

「黄杏?」

「兄様……」

灯りを持って来たのは、黄杏の兄・将拓であった。

「何をしているんだ。こんなところで。」

「あの……忘れ物を取りに来て……」

そう言う黄杏の胸元が、大きく開いているのを、将拓は見逃さなかった。


「黄杏、おまえ……」

将拓が黄杏の手を掴むと、誰かに手を振り払われた気がした。