「いや……」

「では、小太りの女ですか?案外そういう女の方が、子供ができやすいと言う事も、ありますよ?」

忠仁は、恋に落ちた王を、少しからかいたのだった。

「いや、それでもないのだ。」

「まさか……」

「そのまさかだ。」

忠仁は、床を強く叩いた。

「なりません!王は、この国を滅ぼすおつもりか!」

「そんな気持ちは、毛頭ない!」

「ならば、どういうおつもりなのですか!」

信志は、黄杏を思い浮かべると、唇を噛み締めた。

「……忠仁、私達は惹かれ合ってしまったのだ。何があっても、離れぬと約束をした。」

「なんと……」

忠仁は、後ろに倒れそうになった。

「ならば、召し使いとして、お雇いになりますか?」

「召し使い!?」

「召し使いをいくら弄ぼうとも、王の勝手。妻にできぬのであれば、それしかなかろうと。」

信志は、唇を噛み締めた。