それとは裏腹に、お供の忠仁は、滞在を伸ばした王に、危機を感じていた。

「王よ。いつまでこの村にいるおつもりですか?」

「そうだな。もう少し……」

「もう少しと言っても、あと2日ですよ?」

信志はそれでも、都に帰りたいと言わない。

「もう少し、もう少し、ここにいる事は、できないだろうか。」

忠仁は、何かあると勘づいた。

「女ですか。」

信志からの返事はない。

「どなたか、お気に召した女がいるのですか?」

「いると言えば、滞在を伸ばせるのか?」

忠仁は、大きく深呼吸をした。

「でしたら、その女を妃にすれば良い事。」

それもどうやら、信志には響いていないようだ。


「前にも申しましたよね。妃になれない女には、近づかないようにと。」

「ああ。」

それでも、信志は遠くを見つめている。

「まあ。惚れてしまったからには、致し方ないでしょう。どういう女なのですか?背が低いのですか?それともか細い女ですか?」