「今日も宴があるのね。いつまで続けるつもりなのかしら。」

黄杏は、どんどん集まってくる客人を見ながら言った。

「予定では2週間程って事だから、もう少しだね。」

「そっ……か。そうしたら、信志も、一緒に都に帰ってしまうのね。」

信志は、そっと黄杏を見つめた。

「寂しい?」

「あっ……いや……せっかく知り合ったのに、勿体ないなって思って。」

「勿体ない!?君、面白い事ばかり言うね。」

信志は、また笑い出す。

「だって!この村には、あなたみたいな……」

言葉を止めた黄杏に、信志は顔を近づける。

「あなたみたいな?何?」

「あの……」

端正な顔立ちが、自分の目の前にある事に、気恥ずかしさを覚える黄杏。

顔を赤くしながら、顔を背けた。


「黄杏!」

台所から、小太りの女が呼んでいる。

「はーい!」

返事をした黄杏は、スルッと信志からすり抜けた。