次の日。

信志は、改めて自分が落ちた池を、昼間に見た。

夜だったとは言え、こんな大きな池に気づかなかったなんて。

それほど酔っていたのか、それとも月に見とれていたのか、思い出すだけで恥ずかしさが、込み上げてきた。


「今日もご機嫌、麗しゅうございます、王。」

「そうか?」

「はい。今日もと言いますか、昨晩からですが。なにか良い事でもありましたか?」

昨日の夜の事を思い出した信志は、また笑い出してしまう。

「王?」

「いやいや、何でもない。そうだ、忠仁に聞きたい事がある。」

「何でしょう。」

信志は、池の辺りにある大きな石に、腰掛けた。


「世話をしてくれている村の娘に、条件を出しているそうだな。」

忠仁の、眉がピクッと動いた。

「お耳に入りましたか。」

「そうだな。何故だ。」

「なるべく早く、お妃様を決める為でございます。」

忠仁は、尤もらしい理由を述べる。