その事は、台所仕事をしている黄杏達にも、伝わった。

「聞いた?美麗が、お妃第1候補ですって。」

「やっぱり?村一番の美人だもんね。」

条件に合わない者の多くは、背が低い者、やせ細っている者、肉付きが良すぎて、小太りな者も多くいた。

最初から選ばれないと知っているから、誰が選ばれるのか、裏で賭けている者もいた。


「そうなると、勿体ないのは黄杏ね。」

小太りの女が、黄杏を呼んだ。

「美麗程ではないにしろ、黄杏だってなかなかの美人よ?格好なんか、美麗よりも上だしね。」

「そうそう。これで将拓さんがいなかったら、結果は違っていたかもね。」

台所にいる女が、こぞって黄杏を哀れんだ。

「まあまあ。兄がいなかったらと言う話をしたって、仕方ないですよ。こればかりは、何ともならないでしょう。」

そう言う黄杏は、そもそも王の妃になる事など、興味がなく、それこそ誰がなっても、一緒だと表情だった。