尚も笑い続ける将拓に、黄杏は飽きれ顔だ。

「それに、王の妃になるなんて、それこそ見目麗しい女がなるものでしょう?」

「そんな事は、書いていなかったぞ。」

「当たり前過ぎて、書く程でもないのよ。」

そう言ってた黄杏だが、何やら出掛ける支度をしている。

「どこかに行くのか?」

「ええ。条件に合わない娘も、台所仕事をしなければならないんですって。その衣装の打ち合わせよ。」

黄杏は、髪を軽く解かすと、手荷物を持って、外に出た。


外では隣の家に住んでいる同じ年の美麗が、化粧の練習をしていた。

「美麗、衣装の打ち合わせに行かなくてもいいの?」

「ああ、私はもう終わったわ。」

美麗は、筆を持ちながら答えた。

「あら、早いのね。」

「そうね。お妃候補だから。」

しれっと答える美麗。

だが美麗も、背は高く、決してか細くなかった。

その上、村一番の美人と称えられていた。