色のない世界で色を求めて早数年。最近わかったことがある。神様は私になんて興味が無いということ。ことある事に最悪の事態に巻き込まれ、学校でもいつも窓側最後列のポジションで本を1人読んでいる。

それになんと言っても3年前のあの事件⋯。

あの事件が起きてから、私は変わってしまった。
よくある交通事故⋯だけだったら良かったのに。でも、今更悔やんでも意味は無い。気持ちは前を向いているのに私が纏う時間軸はあの時のまま止まっているように思えた。

ベッドに体を預けて天井を見る。普通着くはずのない、包丁のような刃物で傷つけられた跡。ビリビリに破かれたまま、天井に貼り付けてあるポスター。

私の部屋も、あの時から全く変わらず⋯。

母も父も心配してくれているが、私自身、性格が変わってしまったこと以外何も心配するようなことは起きていない。

それに気持ちはもう前を向いている。

制服のボタンをしめ、リボンをつける。リビングには寄らずそのまま玄関まで直行する。

「行ってきます⋯」

小さな声で言う。
ドアを開けると、そこに広がっていたのは彩り溢れる世界のような真っ黒な世界だった。