朝、起きて支度をする。
胸もとまである長すぎないふあふあの髪の毛を、寝癖直しスプレーで整えていく。
そして、美容院にはいかずに4年かけてやっと韓国流になった薄い前髪と触覚を、軽くくしでとく。
触覚は巻かずとも、くしでとくだけでまとまるようなシンプルな触覚にしたため、楽でありがたい。
前髪だけすこし癖っ毛であることも、巻かずにすむ理由だった。
(そのくせっ毛をいかした触覚にしたから)


それと、これだけは、遅刻しても必ずやっておきたいと思うことがある。それは、
顔を洗い、スキンケアを軽くすること、だった。
中学生になってから、ちゃんとからだにいいものをたべてもときによるが肌荒れをすることが多くなった。

生理前なんてもってのほかだ。
スキンケアをしないとなおさらひどくなるので、これだけは遅刻しそうになっても必ずやる。


小学生のころにもどりたいな~。なんて、
中学生にはいってから、思わないであろうと思うことを思うようになった。
大人の人たちが、小学生のうちにたくさん遊びなさい。
だとか、小学生に戻りたいな~なんていっていたのをきいたことがある。

どうしてそう思うのか正直よくわからなかったけれど、今ならわかる。
中学生に上がると、小学生よりも任されることややること、先生方の接し方や年上や年下からなどの接し方、接され方が
目が回りそうなほどくるんと一回転するように違くなるからだ。
それに加えて、お年頃になると親と一緒にいるのがなんかいやになるし、でも反抗すると罪悪感があり、
肌は荒れる。成長するにつれいいこともたくさんあったが、そのぶん大変なことも同じくらいできた

朝の支度は、かわいい準備まんたんなじぶんでいけるようにするためにするけれど、サボってしまいたいときはもちろんある。

それは、りんこだけではなくみんなもでーーーーー


(おはよ~)
支度と朝食を終え、学校へ向かっている途中にーーうしろから、あきらかにきの落ちたはきのないあいさつが聞こえた。
いつもはもっとぽんわかぽわわーんとしたあまーい声を発するので、一瞬頭がくらっとしてしまうが、今日はなんだが悩みを抱えているようで、気だるげだ。高校生になってから3回目だろうか・・・。


振り向くと、やはり元気がないようで、いつもは礼儀正しい姿勢が今はその背は丸まっている。
歩くのでさえ辛そうだ。

「はよ~!どうした?なにかあった?また愛犬におもちゃ破られたとか?」
「えー?ちがうよ~」
すこし肩をくすめたあと、否定して首を横に降りながら、ふあはりんこのかたにてをおいて、そこに軽く重心をかけてきた。
すこしよろけそうになるが、彼女が本当に辛そうなため、腹筋にグッとちからをいれてこらえ、話を待つ。
「昨日、委員会が延長しちゃっていつもより遅くに帰って、色々やってたらいつのまにか0時すぎちゃって・・・」
そういいながらしゅんと肩をおろす。
そんな彼女のかおをりんこはのぞきみて確かめる。
そうすると、たしかに目の下にクマがあり、コンシーラーなどで隠しているようだが、その上にもまだうっすらとクマは見えてしまっていて、あきらかに不調だ。
「・・・学校ついてからすこし寝たほうがいいんじゃない?今日は何時間寝たの?」
でも、0時を過ぎたとしても朝の支度を軽めにすれば学校にいけるぐらいの睡眠時間はとれるはずだ。
だが、彼女からは思わぬ答えが帰ってきた。
「3時間・・・」
「さっ3時間っ?!」
りんこは
「しかもね、ふあん家はお墓の近くだから、夜中になると心霊現象が時々起こるの・・」
「あぁ・・・」
その話は知っている。
中2のころ、急に夜22時にふあからメッセージアプリで(わたしんちきて)というなぞの連絡があった。
深夜にメッセージがくるなんて珍しくて
なんだろうと思いながらも、それほどふあん家が自分家から遠いわけでもなかったため、
(わかった。すぐいくね!)と返事を返し、自転車でふあん家に向かった。

必死にこぎながらなぜ今うちを呼んだのろう。と考える。
こんなに夜遅くにメッセージをすることも自分ちにきてと送ってくることもなかったのに・・。
そこまで考えて、ふと、心当たりがあることを思い出した。
それはついさいきん、一緒に学校へとうこうしていたときだった・・。

昨日は遅くまでドラマをみていてとてつもなく眠く、うとうとしながら学校へいっていたとき、突然、となりにいるふあが、
(あのね、実はね)
と噂話をするような小声で、りんこに話しかけてきた。
(・・んー?)
(昨日ね、夜更かしして深夜まで起きてたら、シンレイゲンショー?みたいのがおこったの)
心霊現象。
りんこは幽霊がこわくて苦手だ。だから驚いてすこし目を覚ました。
(え、こわいっ)
(でしょ!?階段から、トン、トン、ト)
(うわあこわいからもうやめてーーっ!)
(わたしもこわいよ~~っ)

と、話していたのを思い出したから。





たしか、前回は・・ちょっとしたことでお母さんにおこられてしまって落ち込んでいたそうで、
前々回は、・・中型けんの愛犬に自腹であげたおもちゃが、小さすぎて一瞬で噛みちぎられてしまったから、おちこんでいたらしい
どれもうちからしたら落ち込むほどではないのだが、。