関東学園大学はというと……11位……。往路優勝したのにシード落ちした初めてのチーム。

 不名誉な歴史を残してしまった……。これも青春のグレア……。

 代わりに10位に食い込んだのは東邦国際大学。ゴールに飛び込んできた多部をタオルで迎え入れたのはやはり天野だった。


 今、新年を迎えた全世界の中でも最も熱い場所であろう大手町。『絆の像』が全てのチーム、選手、スタッフたちを祝福する。
 誰もが涙を流している。歓喜の、悔しさの、感動の……それぞれ違いは有れどもきっと、その涙たちは忘れられない記憶となるであろう。


『絆の像』の隣には、箱根駅伝第1回からの歴代総合優勝校の名前が刻まれたモニュメントが設置されている。

「必ずここに関東学園大学の名を刻んでやる……」

 第80回から授与されている『金栗四三杯(最優秀選手賞)』の歴史の中で唯一、『区間賞』を得ずに受賞した光だが、スタート(明日)へ向かうべく強く呟いた。
 光の決意は屛風状の冷たい金属に反響し、しばらくの間そこに留まっていたかに思えた、空木の心にも光と同じ想いがあったからなのであろう。恐らくとなりに居る谺にも……。


 それを横目に空木は視線を上げる……いつの間にか下を向いていた……見上げる空は眩しい……澄んだ空気は太陽の光を眩しく真直ぐに降らせる。



 ……青春は走り続ける……

 ネバーギブアップ! ただそれだけだ……それしかない……。