襷は7区へと繋がれる。

 関東は青空の転倒、打撲が響いて9位まで順位を落とす。トップで襷を繋いだのは青坂学院大。17秒差で追うのが教立大。それを追うのは馬引沢大19秒差。4番手は真瀬田大。明和大、聖和大、望洋大、東京体育大学、関東学園、太平洋大までが10位シード圏内。


 気温差ナンバーワンの7区。
 小田原中継所をスタートする午前9時前後は箱根の山から吹き下ろす風で冷え込む。次第に気温は上昇、太陽が高くなる中盤以降は退館温度差が激しい。
 前半の小田原市内はほぼ平坦な道のりだが、国府津駅付近から小刻みなアップダウンが続く。箱根全10区の中で走り易くルーキーの登場も多い7区だが、意外と走りにくいコースでもある。

 青坂はこの7区に他の大会では主要区間を走る倉木真琴(くらきまこと)を投入して他チームにプレッシャーを掛ける。これは思いの外に効き目がある。

 順調に逃げる青坂。しかし思いの外2位教立との差が付かない。教立もエース格成宮蒼人(なりみやあおと)をジョーカーとして残してあったのだ。
 この2人は他の大学三大駅伝、出雲駅伝、全日本大学駅伝でも鎬を削った間柄。このレベルになると、ある程普度の実力者同士は顔見知りではある、が、この2人の認知はオンラインゲームである。

 オンラインゲームでのパートナーが駅伝のライバル校の選手と知ったとき、より絆が深まったという……。
 出雲ではゲームで助けられている成宮に倉木が勝った。全日本では倉木はチームの大ブレーキとなり成宮の後塵を拝した。『タラ・レバ』をお互い言い合ったりもした。これはオンラインゲームではない、何度もやり直せるリセットなど無い。チャンスはこの1回だけである。しかし彼らは知っている、ゲームと同じように『周囲を見渡す目を』『協力し合うチーム戦だということを』。