2人は高校の同級生だ。1年前の箱根駅伝、名門青坂学園大優勝の立役者となった神々。
6区区間賞のインタビューで『ライバルは関東学園の青空君です』と言わしめた二人の関係性。神々はこのときを待ち望んでいた。身を削るハイペースで勝負を届けに来た。
もちろんチームを無視した無謀な追い上げではない。彼の走りに『「ちょっと早いな。少し落とそうか」と監督車から声掛けも『今日は動きもいいし、調子もいいから、このまま行けっ』と変わる程に。
そして青空も当然『持っていた』訳はない。これぞ熱い勝負の布告である。
神々は知っていた……去年この6区を走ったからこそ知っている。『前半4キロの上りでどれだけ攻められるかが重要』だってことを。そして……。
「神々……『寒い親父ギャグ』と掛けまして、『平坦』と解く……」
「……その心は?」
「どちらも下らねぇ……だ」
「青ちゃん……それを言うなら『箱根駅伝6区』と掛けて『プロの変化球』と解く」
「……良く曲がる……だろ?」
「ご名答!」
「『下り』と『コーナー』が勝負の見せどころだ」
「さぁ行こうかっ!」
大平台のヘアピンを過ぎ、コーナーを責める2人。汗が瞬く間に冷えるほどの空気が肌を切る、スピードに乗っている。先頭争いは全てが過酷である。なぜなら路面が温まっていない。
「あっ…………!!」
まるで編集で画面からパッと消えてなくなったかのように、さっきまでそこにいた気配が霧散した。しかし何が起きたのか想像には難くない。
青空が凍結した路面に足を払われた……スピードに乗った下り、身体が勢いよく路面を舐める……転倒だ……。
僅かに後ろ髪を引かれた素振りの神々、しかし振り払うようにギアを上げる。神々は知っていた……『山下り』は確かに6区の見せ場でありポイントの一つである。しかしここでは転倒や故障が無ければ差は付き辛いラストの3キロがものをいう。
5区もそうだが、本格的な上りと下りがある6区では、その切り替えが大事になる。
(恐らく青ちゃんのあの転倒はラストに響くだろう……この好勝負を名勝負にすべく、俺が1位で襷を繋ぐ!)
すぐに立ち上がった青空だが、足を引きずる。思うように足が前へ出ない。関東大アクシデントによる大ブレーキとなってしまう。
6区区間賞のインタビューで『ライバルは関東学園の青空君です』と言わしめた二人の関係性。神々はこのときを待ち望んでいた。身を削るハイペースで勝負を届けに来た。
もちろんチームを無視した無謀な追い上げではない。彼の走りに『「ちょっと早いな。少し落とそうか」と監督車から声掛けも『今日は動きもいいし、調子もいいから、このまま行けっ』と変わる程に。
そして青空も当然『持っていた』訳はない。これぞ熱い勝負の布告である。
神々は知っていた……去年この6区を走ったからこそ知っている。『前半4キロの上りでどれだけ攻められるかが重要』だってことを。そして……。
「神々……『寒い親父ギャグ』と掛けまして、『平坦』と解く……」
「……その心は?」
「どちらも下らねぇ……だ」
「青ちゃん……それを言うなら『箱根駅伝6区』と掛けて『プロの変化球』と解く」
「……良く曲がる……だろ?」
「ご名答!」
「『下り』と『コーナー』が勝負の見せどころだ」
「さぁ行こうかっ!」
大平台のヘアピンを過ぎ、コーナーを責める2人。汗が瞬く間に冷えるほどの空気が肌を切る、スピードに乗っている。先頭争いは全てが過酷である。なぜなら路面が温まっていない。
「あっ…………!!」
まるで編集で画面からパッと消えてなくなったかのように、さっきまでそこにいた気配が霧散した。しかし何が起きたのか想像には難くない。
青空が凍結した路面に足を払われた……スピードに乗った下り、身体が勢いよく路面を舐める……転倒だ……。
僅かに後ろ髪を引かれた素振りの神々、しかし振り払うようにギアを上げる。神々は知っていた……『山下り』は確かに6区の見せ場でありポイントの一つである。しかしここでは転倒や故障が無ければ差は付き辛いラストの3キロがものをいう。
5区もそうだが、本格的な上りと下りがある6区では、その切り替えが大事になる。
(恐らく青ちゃんのあの転倒はラストに響くだろう……この好勝負を名勝負にすべく、俺が1位で襷を繋ぐ!)
すぐに立ち上がった青空だが、足を引きずる。思うように足が前へ出ない。関東大アクシデントによる大ブレーキとなってしまう。