恐らく次のポイントは六郷橋。このまま我慢と牽制が続くのであろうか?

「1区は駅伝全体の流れを作る重要な区間。『各大学ともチーム屈指のスピードランナーを起用』なんてデマかよ」

 15キロ過ぎ、しびれを切らしたのは優勝候補、馬引沢。集団を飛び出し学生連合を追う。青坂学院と明和大、そして聖和がそれを追って4人の集団となる。
 関東学園は出遅れた。


 終盤の最重要地点の18キロ。鶴見中継所まで残り3キロという六郷橋の下りを使ったスパートでレースが大きく動く。六郷橋の下りで聖和がスパート。箱根の1区を知っているものなら誰もが予測できるこの下りのスパート。しかしこのスパートの1歩を踏み出すタイミングが駆け引きだ。聖和の勇気ある1歩がトップの学生連合を捉えた。沿道が湧く。

 聖和のスパートに10歩遅れて馬引沢、青坂が食い下がる。残り2キロ弱。しかし逃げ切れない! 20キロ手前で馬引沢と青坂が聖和を躱して前へ。デッドヒートを繰り広げる2人。意地と意地がぶつかり合う。残り1キロで仕掛けた青坂が、馬引沢を1秒差で制し、区間賞を奪う。


 2区走者に襷が渡る。青坂学院、馬引沢大、聖和大、学生連合、教立大、明和大、望洋大、真瀬田大、関東学園……
 トップ青坂から関東学園までのタイム差は僅21秒。