スピードランナーが集結する1区。

　東京・大手町にある読売新聞社前を、午前8時にスタートする。オフィス街を走る21.3 キロのフラットなコース。

　82回大会で距離が延長されてから箱根駅伝のレース展開は大きく変わってきた。まず、1区のスローペースの展開が少なくなった。
　3区も以前は、新人区間と呼ばれていたが今では準エース区間。それまで準エース区間と呼ばれている4区が18.5キロ⇒20.9キロとなって往路は1区～4区までエース級を持ってくることが出来なければ、出遅れてしまう可能性が高い。
　そして5区に関しても23.2キロ⇒20.8キロとなって、繋ぎの5区にするのか攻めの5区にするのか各大学の判断が難しい。
　往路は各大学のエース級が全区間揃い、よりスリリングなレース展開になること間違いない。


　そんな中、8:00にスタートが切られる。


　各校様子見状態。


　団子状態で牽制し合いまだ集団を飛び出す選手は出てこない。第1の駆け引きポイントとなる新八ツ山橋。緩やかに上り、意外に傾斜がある下りの加速ポイント……。ここで学生選抜が集団から飛び出す。300メートル……400メートル……これを追うチームはいない。その差が離れていく。

　高校では目立った選手ではなく、母校は予選会で23位と及ばなかったものの、個人では30位内に食い込み『雲の上の存在』であった箱根駅伝に学生連合で掴んだチャンス。
　学生連合で出場する彼らも『無名の選手でも箱根に爪痕を残す』という強い意志がある。


　……独走態勢だ……。