その2区は順位を落とさず第2 中継所へと飛び込んできた。空光の大きなバストが揺れている。空光のコンプレックスでもある。女子アスリートは競技に集中できるための条件が男子より多い。それでも走る……みんなが襷を待っている……しかし1位名古屋との差は開き、4位開雲大が迫ってきている。
3区里咲は紫乃の後のキャプテンだ。レースの中で一番短い距離、だからこそどの選手も一気にスピードを上げてエネルギーを注ぎ込む。里咲も分かってる、今日の紫乃の4区は富士川河川敷の吹き付ける冬の風が厳しい。
それでもきっと紫乃はいつもの如く笑って走り抜けることだろう。
――だから前半戦の勝負所は私のところだ――
里咲は襷を受け取ると前を向く。その顔に雨粒が当たる。小雨が降り出した。この冬の冷たい雨がレースに与える影響は……。
前の選手の背中は見えない。まずは視界にその姿を捉えることだ、目視することで追う方が圧倒的に有利に立つ。体温を上げるためにもペースアップを試みる。
里咲は前方への意識に囚われて足元が疎かになってしまう。水溜りに足を踏み入れてしまった。
(キャッ……しまった……)
足先を濡らしてしまった。足の冷えはパフォーマンスを低下させる。
結果は順位を3つ落として6位で紫乃へと繋ぐ。
「先輩っ! すみませんっ!」
「何てことないっ! 『I will do it』わ」
笑顔で襷を受け取る。里咲はこの明るさに何度も頼ってきた。そして紫乃は必ず期待に応えてきた。
3区里咲は紫乃の後のキャプテンだ。レースの中で一番短い距離、だからこそどの選手も一気にスピードを上げてエネルギーを注ぎ込む。里咲も分かってる、今日の紫乃の4区は富士川河川敷の吹き付ける冬の風が厳しい。
それでもきっと紫乃はいつもの如く笑って走り抜けることだろう。
――だから前半戦の勝負所は私のところだ――
里咲は襷を受け取ると前を向く。その顔に雨粒が当たる。小雨が降り出した。この冬の冷たい雨がレースに与える影響は……。
前の選手の背中は見えない。まずは視界にその姿を捉えることだ、目視することで追う方が圧倒的に有利に立つ。体温を上げるためにもペースアップを試みる。
里咲は前方への意識に囚われて足元が疎かになってしまう。水溜りに足を踏み入れてしまった。
(キャッ……しまった……)
足先を濡らしてしまった。足の冷えはパフォーマンスを低下させる。
結果は順位を3つ落として6位で紫乃へと繋ぐ。
「先輩っ! すみませんっ!」
「何てことないっ! 『I will do it』わ」
笑顔で襷を受け取る。里咲はこの明るさに何度も頼ってきた。そして紫乃は必ず期待に応えてきた。