「谺、俺大学は馬引沢か青坂学院に行こうと思うんだ」

「希姉が待ってる聖和陸上部は?」
「どうして? ちーちゃんは聖和に行くよ?」


「俺はここで芽が出せなかった。奴らに勝つには違う大学に進むしかない」

「調月煌司!」
「天道駿輔……」


「あぁ。箱根駅伝で、希姉が俺たちに託した箱根駅伝で見返してやるんだ」

「…………」
「調月煌司、彼を倒すのは来年ワンチャンスしかない、よ?」


「聖和男子陸上部も箱根を走るにはメンバーが揃ってなかった。けど、谺やうっちゃんが来年聖和に入ればメンバーが揃う。そのときが調月にしたってラストチャンス、必ず箱根本戦に出てくる」

「俺も……俺も光ちゃんと一緒に調月煌司を倒したい」
「……なら、俺も聖和を一緒に倒す仲間に入れて欲しいな」


「お前らはいいんだ、これは俺の我儘だ。だから……」

「『駅伝』だよ? 光ちゃん一人でできるわけがない」
「きっと……これが始まりできっと……これが一区切りなんだよ、希姉が引っ張って俺らを導いてきた一つの区切り……この後はきっと別々の道を選んで、同じではいられなくなる。だからこのゴールラインだけは一人にはさせない」