あの勝負以降、光は陸上部を休みがちになる。光は部活をサボってバイクの免許を取り、アルバイトに明け暮れた。
光は知ってしまった。沢音が計った空木のタイムを。全力で駿介に負けた自分がカッコ悪かったし、今まで庇ってきたはずの空木との実力の差なんてないって気付いてしまったこと……見下していたであろうはずの自分に居た堪れなくなってしまっていた。
そんな光を空木、千風、希、谺、それぞれがそれぞれに気に掛ける。
◇◆◇◆
「うっちゃん知ってるか? バイクで走ると10キロなんてものの何分かだ、しかも疲れないし汗ひとつかかない」
「怖くないの?」
「すぐ慣れるさ、うっちゃんも乗ったらいいよ」
「俺は止めとくよ」
「何でさ?」
「達成感がない」
「代わりに爽快感がある」
「それでも……光ちゃんには足がある……だろ?」
◇◆◇◆
「よう、千風」
「光……練習、もうやらないの?」
「1時間練習したって大して成果ないけど、1時間働けば1000円になる」
「そっか、すごいね」
「働いたら対・価、つまり働きに見合うお金で成果が分かる。実にシンプルで明らかだ」
「成果の8割は、費やした時間全体の2割の時間が生み出しているそうよ」
「なんだそれ?」
「パレートの法則」
「ほとんどが無駄な時間じゃねぇーか」
「そ、『練習』の『対価』は『時間』で表れない、『努力』と『自己満足』で成り立っている」
「青春時代の真っ只中なんだぜ?!」
「そうね……欲しいスカートがあったんだけどな……見て、この可愛くないふくらはぎ……あ、やっぱ見なくていいから……」
「バイト代で千風にも買ってやるよ」
「いい、いい。光が頑張って稼いだんだから、光の大切なことに使いな」
「…………」
「ありがと。かっこいいバイクだね」
光は知ってしまった。沢音が計った空木のタイムを。全力で駿介に負けた自分がカッコ悪かったし、今まで庇ってきたはずの空木との実力の差なんてないって気付いてしまったこと……見下していたであろうはずの自分に居た堪れなくなってしまっていた。
そんな光を空木、千風、希、谺、それぞれがそれぞれに気に掛ける。
◇◆◇◆
「うっちゃん知ってるか? バイクで走ると10キロなんてものの何分かだ、しかも疲れないし汗ひとつかかない」
「怖くないの?」
「すぐ慣れるさ、うっちゃんも乗ったらいいよ」
「俺は止めとくよ」
「何でさ?」
「達成感がない」
「代わりに爽快感がある」
「それでも……光ちゃんには足がある……だろ?」
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「よう、千風」
「光……練習、もうやらないの?」
「1時間練習したって大して成果ないけど、1時間働けば1000円になる」
「そっか、すごいね」
「働いたら対・価、つまり働きに見合うお金で成果が分かる。実にシンプルで明らかだ」
「成果の8割は、費やした時間全体の2割の時間が生み出しているそうよ」
「なんだそれ?」
「パレートの法則」
「ほとんどが無駄な時間じゃねぇーか」
「そ、『練習』の『対価』は『時間』で表れない、『努力』と『自己満足』で成り立っている」
「青春時代の真っ只中なんだぜ?!」
「そうね……欲しいスカートがあったんだけどな……見て、この可愛くないふくらはぎ……あ、やっぱ見なくていいから……」
「バイト代で千風にも買ってやるよ」
「いい、いい。光が頑張って稼いだんだから、光の大切なことに使いな」
「…………」
「ありがと。かっこいいバイクだね」