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「それでよく聖和を受けようなんて言えるわね?! 中間テスト()と変わんないじゃない、ちょっと毛が生えた程度! 」

 谺、千風、空木の3人に勉強を教えてもらっている光。3人に期末テストの結果を見せると、1番厳しい千風先生は容赦ない。

「な、な、なんで千風が知ってんだよ……毛が生えたこと」
「バカ! 何言ってんのよ、知らないわよ、そんな……」
「だって今、俺のピーターパンに毛が生えたって……」
「ピ……もう、知らない!」

 このバカも希姉の夢を託された一人なのだ……千風は悲しく思えてきて怒り足で去る。千風先生の顔が赤いのは、怒ったからなのか何なのか理解できかねている光に谺が小声で諭す。

「○○に毛が生えた程度、とは『ほんのちょっとの差しかない』『さほど変わりはしない』って意味なんだよ」
「なんだ、大人になったって褒められたのかと思ったぜ」
「ピーターパンは永遠の少年だよ」
「毛が生えてもか?」
「そうしたら……飛べなくなるのかもね」
「俺は走れればいい、飛べなくたってこの足がある」