ある日のこと。

 王様の命令でジェラルドとルイスは戦場へと赴く。

 ジェラルドの自宅に取り残されたリリアはピピと共に2人の無事を祈りつつ、帰りを待ちわびる。

3ヶ月後。

帰国したジェラルドは無傷だが、ルイスが大怪我を負っていた。

リリアは懸命にルイスの看病する中、街へ買い出しに出かけるといつも以上に『兄殺しの弟』という噂を耳にすると共にジェラルドの正体ーフィガル国の次期王様ということを知る。

 戸惑い、よそよそしい態度のリリアに対してジェラルドは何も言わず、またリリアも噂のことが気になるも本人に聞く勇気がなかった……。

 そんなリリアに対して療養中のルイスがジェラルドの過去を話し、リリアは涙する。

 ジェラルドの過去。
 15歳の初陣の際、敵の兵士に囲まれ、絶体絶命の危機に陥るが、咄嗟に兄ージェインが助けに駆けつけてくれるも次々に襲いかかってくる兵士の攻撃を全て防ぎきれずにジェインは深手を負い、死を覚悟する。
この時、ジェインは生まれつき身体(からだ)の弱く、この先幾ばくもない自分が生き残るより、身体(からだ)が丈夫で武芸に長けているジェラルドが生き残るべきだと考えての戦死するが、偶然近くにいた兵士の目にはジェラルドがジェインを殺しているように見えたために『兄殺しの弟』という嘘の噂が広がってしまった。
そのことについて本人は弁解しないままでいる。
(自分が窮地に陥ったせいで兄が犠牲になってしまった。『兄殺しの弟』という噂は噂ではなく真実だと本人は思っているのでルイスが噂の弁解をしましょうと、申し出るもジェラルドは拒否したのであった。
そんな自分が王宮にいるのも相応しくないと両親の言葉も聞かずに自己判断し、勝手に王宮から離れて生活を送っている。)

 ジェインを失った戦にルイスも赴いており、別の方向から二人のやり取りを見ていたので、真実を知っており、本当のことをリリアに伝えることができたのだった。

 ジェラルドの過去を知ったリリアはさらに恩返しの意味も込めて、何とかジェラルドの力になれないかと奮闘するが、ジェラルドはリリアの行為を拒否。

 それでも必死にジェラルドの力になろうとするリリアだったが、空回りし続けるも少しずつ2人の心の距離は縮まっていき、お互いにかけがえのない人……と、意識し始めた矢先、突然の他国の襲撃にあい、フィガル国は危機にさらされるのであったーー……。