「こんなところで何をしている?」

 心配して声をかけてくれたにも関わらず、鋭い瞳に低い声、仏頂面のジェラルドの態度にリリアは警戒心を抱き、無視してその場を去ろうとする。

「まったく、世話の焼ける……」
と、呟くと共にジェラルドはリリアの腕を掴み、馬に乗せる。

 突然のことに慌てふためくリリアにジェラルドは静かに言う。

「その先は底なし沼だ。落ちたいのか? 一度落ちれば、抜け出せないぞ」

ジェラルドの言葉を聞き、ゾッとするリリアに
「行く宛がないのなら来い」と、半ば強引にジェラルドの自宅へと招かれる。

 深い森を抜けてしばらく行くとポツンと佇む一軒の家ージェラルドの自宅があり、その先には立派な街並みが広がっていた。

 ジェラルドの自宅に着くと眉を上げ、いかにも苛立っている青年ールイスがジェラルドの姿を見るなり足早にやってきて、ジェラルドが1人で狩りに行ったことを怒鳴る。

 ジェラルドは素直に謝罪し、リリアと出会ったことを話す。
(ここでリリアは自己紹介をすると共にどうして森にいたのか理由を話す)

 途方に暮れるリリアにここでの生活を提案し、3人での生活が始まる。

 リリアは行く宛もない自分に声をかけてくれたジェラルドに少しでも恩返ししようと進んで家事をかってでる。
(料理 見た目はいまいちだが、味は最高)
(掃除は隅々まで行おうと頑張るが雑)
(洗濯は綺麗に洗うも干す際に洗濯物を地面に落として汚したり、風に飛ばされたりする)
その合間に独自で魔法の修行にも取り組む(いつまでもジェラルドの世話になるわけにはいかない。出来るだけ早く魔法使いとして生活費を稼げるようになりたいという思いから)
何事も一生懸命取り組むリリアのことが何故か気になるジェラルドと何かしらさり気なくフォローしてくれるルイスとの生活はとても楽しく、居心地が良かった。

 リリアが街で食材を買い物している際にある一つの噂『兄殺しの弟』を耳にするもその時はジェラルドのことだと気づくことはなく、何とも嫌な噂があるものだな〜と、思うくらいで気にとめることはなかった。
(ジェラルドもルイスもリリアに自分達のことを詳しく語っていなかったせいもある)

1日、1日……と、3人での日々が過ぎていくーー……。