魔法使いのリリアが住むバルス国には古くから魔法使いが召喚した神獣と共に王様が国を治めていく……と、いう風習があった。

 次期王様の候補であるユリオス王子が成人の儀を迎えた10年後に執り行われた神獸召喚の儀にリリアも参加する。

 現王様、現女王、次期王様のユリオス王子、側近や大臣達、魔法使い達……多くの人々が注目する中、神獸を召喚しなければならない場面でリリアは極度の緊張により、上手く呪文を唱えることが出来ないどころか、召喚した神獸はなんとリリアの両手に乗るくらいの小さな『ひよこ』だった。

 召喚された神獸ーひよこを目にして、現王様は失神し、ユリオス王子は激怒する。

 死刑を命じられそうになるも、父親が元兵士であり、母親が優れた魔法使いで国に貢献した実績があることでなんとか死刑を免れるも『国外追放』を言い渡されてしまう……。

 その日のうちに荷物をまとめたリリアは西へと向かうも深い森の中で迷子になる。

 肩を落とし、ため息の止まらないリリアに神獸召喚の儀で召喚したままリリアの側にいた神獸のひよこーピピが「私を召喚するなんて、ラッキーよ!」と、声を弾ませて言うも状況が状況なだけにリリアはますます落ち込む。

 そんなリリアに手を差しのべてくれたのは馬に乗った全身黒ずくめの服装の青年ージェラルドだった。