それは間違いなく、僕がずっと探し求めていた『夏君』の『青の書』と『白の書』だった。


投稿されたのが3日前の日付。


今日が土曜日でよかった。

僕は慌てて支度をすると、家を飛び出した。


隣町の書店といっても、僕が住んでいる町寄りになるから自転車で行ける距離だった。


だれかに買われる前に、早く手に取りたくて。

はやる気持ちに駆られながら、僕は自転車のペダルをこいだ。


そして、目的の書店についた頃には額から汗を流していた。

でも今は、そんな汗さえも清々しい。


「すみません。この写真の棚ってどこにありますか?」


すぐに店員さんに聞いて案内してもらった。


「ここですよ。この投稿のおかげか、今すごく人気なんです。この小説」


と店員さんがポップ付きのオススメ小説を紹介するが、僕はその奥の棚を見つめていた。