また会いたいなんて柄にもないことを口走ってしまったけど――。

あのとき、少しでも勇気を出してよかった。


そのおかげで、僕も清夏さんもここにいる。


「もしかして、夏…終わっちゃった?」


冬服の制服姿の僕を見て、首をかしげる清夏さん。


「はい。もう秋です」

「え〜…、そうなんだ。いつの間に…」


清夏さんはうなだれると、悔しそうに眉間にシワを寄せる。


「あの橋の下、…これからの時期は寒いよね?」

「そうですね。風がよく通るので、めちゃくちゃ寒いです」

「だよね〜…」


はぁ…とため息をつく清夏さん。


「じゃあさ。来年の夏、またあそこでいっしょに本読もうよ」

「は、はい。それなら喜んで」

「来年だけじゃない。再来年もその次の年も、ずっとずっといっしょにいようよ」