それなのに、不思議と読んだことがあるような気がした。


この文も、このヒロインのセリフも、…なぜだか知っている。


思い返せば、夢で読んだ内容と同じだった。


――あれは夢のはずなのに。

あそこにやってきた清夏さんもこの本の内容も、どうしてもすべてが夢とは思えなかった。


『たぶんこっち読んだらびっくりするよ。前半から驚きの連続で』


たしかにびっくりです、清夏さん。

白の書、めちゃくちゃおもしろいです。


でも、青の書だって負けてませんよ。

早く読んでください。


と言いたいけれど、今の清夏さんが読めるはずもない。


だけど、きっと清夏さんも読みたいはずだ。

それなのに、僕だけが白の書を読むなんて…なんだかずるい気がする。



次の日。

学校帰りに、僕はまた清夏さんの病室を訪れた。