思わず言葉を失った。


聞くと、2週間前の土曜日。

僕との約束の場所に向かう途中、清夏さんはあの現場で事故にあった。


すぐに病院に運ばれたものの、頭を強く打ったせいで今も意識が戻っていないという。

もしかしたら、このまま意識が戻らないかもしれないとも言われているのだそう。


「でも僕…、昨日…清夏さんに会ったんです」

「…昨日?」

「はい。この青の書と白の書を交換しようって話してて、それで清夏さんが僕のところに渡しにきてくれて…」


それを聞いた清夏さんのお母さんは、床頭台の引き出しの中からなにかを取り出す。


「清夏が内海くんに渡したかった本って、これのことよね?」


清夏さんのお母さんが持ってきたのは、『夏君』の『白の書』だった。


「あの子、うれしそうに話してきたの。とっても趣味の合う男の子に出会ったって。それで、今度この本を交換しにまた会うんだって」