…コタロウさんかも。

いや、そんなはずはない。


自問自答を繰り返し続け、ずっと胸の中がゾワゾワする。


コタロウさんが約束の場所にこないのは、きっとなにかの手違いに違いない。

僕はそう思うようにした。


だけど、さっきメッセージを送ったSNSには未だに返信はない。

今思えば、数日に一度のペースで読了の投稿をしていたコタロウさんだったが、ここ2週間はなにもアップされていない。


…コタロウさん、早く連絡ください。

それか、いつもみたいに【読みましたー!】という読了の投稿をしてください。


夜眠るときも、忽然と消えてしまったコタロウさんの顔がまぶたの裏に映る。


そういえば、この感じ――。


『夏君』の青の書の主人公と同じだ。

あの主人公も、ヒロインと会えなくなってこんな気持ちだったのだろうか。