心臓も不愉快なくらいドクドクと脈打つ。


「すぐに救急車はきたけど、…あの子どうなったのかしら。無事だといいのだけれど…」


そういえば1週間前のあの日、橋の下に救急車のサイレンが聞こえてきた。


「…あの!その人が運ばれた病院ってわかりますか!?」

「病院…?さあ、そこまではわからないけど…」

「…そうですよね」


あからさまに肩を落とす僕の顔を女の人がのぞき込む。


「もしかして、…お兄ちゃんの知り合い?」

「いえ…、そんなことはないとは思うんですけど…」


僕はなにを考えているのだろう。

事故にあったという女の人がコタロウさんという確証なんてないのに。


それに、できれば認めたくもなかった。

僕との待ち合わせに向かう途中で、コタロウさんが事故に巻き込まれただなんて。