『夏君』の白の書だ。


「もう最っ高だったよ。早く読んでほしくて、これだけは絶対に涼太くんに渡さないとと思って、自転車がんばってこいできたよ」

「僕だって、早くコタロウさんに青の書を読んでほしくてここでずっと待ってたんですから」


僕が青の書を差し出すと、コタロウさんがそれを受け取った。

そして、僕もコタロウさんが差し出す白の書を受け取る。


没頭してしまったら話は別だけど、前までは本を読むとき近くにだれかいたら、どうしても気になってしまっていた。

でも、前回も今回も、コタロウさんがいても気にならない。


いい意味で空気というか、安心できるというか。


白の書を読んでいたとき、ふと横から視線を感じた。

目を向けると、またコタロウさんが僕のことを見つめていた。


そういうふうに見つめられると、…さすがに気になる。